第百七十章・エクル・エスペランザについて〈前編〉
おはようございます。もう昼ですが(笑)今日もコーヒーを片手に書いております。
第百七十章・エクル・エスペランザについて〈前編〉
「つまり、エクル・エスペランザって女は、自分の領土を広げるために、いろいろ暗躍しているってことなんだな?」
森の近くにあった、隠れ喫茶店『もか』に立ち寄った俺たちは、そこでコーヒーを注文してから、話していた。
ちなみにコーヒーは悪魔や魔族が飲むものとして認識されているが、この喫茶店には魔族もよく来るというので、特別に出してるそうだ。
俺も久々にコーヒーを飲める。
他の三人は気味悪がって、紅茶を注文していたのだが。
コーヒーが来ると、俺はそれをひとくち、喉の奥に含む。
ゲッ!苦い‥‥‥。
何だこの苦さは?
本当に悪魔が飲むような味だぞ?
てか、これはエスプレッソを砂糖無しで飲んでいるようなものだ。なのでガッツリ濃い。
「あの、砂糖はある?」
俺は店主のエルフの女性に訊いた。
「砂糖を入れるのですか?コーヒーはブラックが常識ですよ?」
砂糖、無いんかい!
俺はその苦さと戦った。でもまぁ、無理に飲まなくてもいいだろう。
ルルチェが、「ひとくち飲みたい」と言ってきたので、カップごと渡した。
どうせ、俺だけでは全部飲めそうではない。
ルルチェが、「うっ、この苦さ‥‥‥すごい!」と飲んだ感想を言った。
そう言うだろう。
コマドリも飲んでみた。
「ぐわっ!これは味がぶっ飛ぶ!」
正直な味の感想をありがとう。
最後にイーゼルが口に含んだ。
無言‥‥‥。
でも、その表情から、もう味に対しての反応は分かった。
こいつら、コーヒーを今後も飲もうとは絶対に思うまい。
ブラックなだけに、黒歴史だ。
「それはそうと、エクル・エスペランザって女は、自分で新しい国家でも作るつもりなのか?」
「さぁ‥‥‥。でも、権力者には変わらないみたいよ」
ルルチェは、俺にコーヒーを返すと、そう言った。
「情報はたくさんあった方がいいからな。それで、相手の戦力は?」
「分からない」
「おい」
「しょうがないでしょ。エミリディアも詳しくは説明してくれなかったし」
「ああ、そうだな」
その時、喫茶店の店主のエルフさんが、話に割り込んできた。
「あの、エクル・エスペランザという方は、わたしも存じていますよ」
「え?」
「わたしの情報で良ければ、知ってることをお話しますが‥‥‥」
これはちょうどいい。情報が得られるのなら、聞いた方がいい。
「エクル・エスペランザさんは、二十六歳。六年前に両親の死亡で、自分が権力者の座に着きました。最初は女ということもあって、カル・デールからもナメられてましたが、恐怖政治を持って、土地を支配するようになりました」
「要は暴力による支配を始めたということか‥‥‥」
「はい。なので戦力も多いです。7000人の兵を持っているということです。それも、魔族も混じっていると同時に、兵たちもカル・デール軍よりもさらに強靭な体躯を持つ人を雇っているということです」
「兵ってのは傭兵なのか」
「そうですね。おそらく‥‥‥。でも正規の軍では、もっと多いかもしれませんが」
「それで、魔族ってのは?」
「ケルベロスをたくさん飼っているのです」
「ああ、ウィノラが言ってたな」
「ケルベロスたちは番犬でもありますし、かなり強力な魔族です」
「いい情報をありがとう!」
「いいえ。でもさらに厄介なのは、部下のアンナとクローディアの二人です。要注意ですよ」
「アンナとクローディア?」
「アンナは普通の女の子ですが、魔女です」
「魔女?」
「本物の魔女ではないのですが、魔女の資格を持つ、魔族としての魔女なんです」
「そんな奴が‥‥‥」
俺はイーゼルの方を見た。
イーゼルの顔つきが変わった。
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