第十六章・ルビの町の危機!どうする、俺たち?
ファンタジーに疎いので、ちょっと変化球させました。
第十六章・ルビの町の危機!どうする、俺たち?
さすがに翌日の朝食まで抜いたら、もうイジメだろう。
コマドリの罰は昨日でチャラにした。でも次にまた逃げたら、また罰な。
まぁ、俺はイジメっ子じゃない。
確かに戦闘中に勝手に逃げ出したら罰は当然だが、俺も鬼ではない。
鬼になるのは敵との遭遇の時だけだ。
冷静冷静。
さて、俺もチートはタダで得た能力なので、怖かろうが戦えるが、コマドリはそうじゃない。レベルも二桁になったし、強くなった気がするだけで、俺の能力と彼女のレベルが同列に並ぶなんてことは、さらさらない。
だから、それ以上は責めないのだ。
じゃあ、やっぱり地道にモンスターを倒すことは、レベル上げに直接つながるものなのだから、モンスターと戦って、いや、根性を身に着けてあげるのが先だ。
「今日はまた、モンスター退治に出掛けよう」
俺が提案する。
今度は戦う相手を考えてからモンスター退治をしようと思った。
「今日もあの森ですか?」と、イーゼル。
「ああ。今日はコマドリが逃げないように普通に戦わせる。レベルアップも大事だし、何より大切なのは自分に自信を持つことだからな」
「自信‥‥‥か」
コマドリはうつむく。
「そうだよ。自信を持つんだ!」
イジメから逃げた俺が言うのも何だがな。そう、俺も臆病だった。毎日のように自信を無くさせるメに遭ったことが原因だが、俺にはもう、どうしようもなかったのだ。
それに他人からよく自分で戦わないからダメなんだとか、イジメられる?じゃあ逆にイジメ返せ!とか、散々言われてきたからな。
それじゃ、お前がやってみろよとか言い返したくなったが、それを言う度胸もなかったのだ。
逃げるのだって楽なことではないのだというのに。
だから、逃げるのをただの悪だと決めつけてはいけない。
さあ、これ以上俺が責めることはない。
モンスター退治くらい俺がサポートしてやろう。それが俺にできることなのだからな。
町を出る用意を宿屋でしていたが、その時、町の様子が少々違って見えたことに気付いた。
なんだろう、この雰囲気は?
俺はその感じを忘れなかったが、今はモンスター退治に集中しようと思った。
* * *
モンスター退治を今日はけっこうやったと思う。
オークやキメラが数匹くらい出てきて、コマドリも一生懸命、討伐に精を出していた。
昨日のワイバーンのことで気にはしていたのだろう。
頑張って経験値を獲得してレベル上げもやっていたようだ。
オークなんかは、コマドリの逆手持ちの忍者刀の威力が役に立ったようだった。
魚心に水心と言ったところか。
俺は倒したオークのコインをコマドリに渡した。これはコマドリの分だ。というか、コマドリの頑張りに対する報酬のようなもんだ。
ありがたく受け取ってくれ。
あれ、俺って今ちょっと上から目線になってる?
調子になるべからず、調子に乗るべからず。
* * *
数日後、俺はどうして気づかなかったのか?
この町に来て、ここを拠点にモンスター退治を繰り返してきたが、町のおかしさを初めて実感したのは、いつだったことか?それは記憶をたどると覚えていたが、その時に何らかの対処をすればよかったと思ってしまっていた。
町では謎の病気が蔓延していたのだ。
病気がいつ、どこからどのような経路を経て、こんなに広まったのかはまるで分からなかった。
病院はこんな町の病院だ。患者をそこまでたくさん診れるほどの大きさはない。
町では子供を含め、数十人くらいの患者が治療を受けるも、薬も何も効かないでいた。
「おい、賢者!」
「わたし?」
ルルチェが自分を指さした。
「お前、病気を治すヒーリングとかできるか?」
「少しなら。でも根本を正さないとヒーリングにも限界があるわ!」
「よし、俺たちはまだ感染していないから、病床を特定するぞ!ルルチェは町の人たちの治療に当たってくれ」
「それは待って!ダメよ。何でかって言うとわたしが賢者で、普段からヒーリングのオーラをあなたたちに振り分けているから、あなたたちも平気なだけよ。わたしたちパーティーが離れてしまったら、すぐに感染するかもしれないの。だからこの町の中でバラバラに行動するのは危険だわ!」
「マジでか?」
俺たちはどうすればいいんだ?
次回をお楽しみに!です。




