表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/479

第百六十八章・クリーチャーがご主人様?

昨日は一章しか更新できず、スミマセンでした。読んでくれた方すべてに感謝申し上げます。

第百六十八章・クリーチャーがご主人様?



 俺たちは寝る場所を確保しようとしたが、どうも部屋という部屋は、どこも汚れ方が尋常ではない。ほこりやススだらけで、ベッドもある部屋もあったが、真っ白に汚れていた。

「どこもダメだな、こりゃ」

 俺は次々にドアを開けて、部屋の中を見回し、扉をそっと閉めることを繰り返した。


「この城に入ったのは不正解だったようだな」

 と、コマドリが独り言のように言った。


まぁ、それでも外は大雨で、雷も鳴っているし、真っ暗だ。

外よりはマシだろう。


 俺はさらに上へと続く階段を見つけた。

「ここからまだ上に行けるぞ」

 吹き抜けより上に続いている階段だった。

 俺たちは三階にまで上がる。


確かに、ここまで来れば、おどろおどろしい雰囲気は目立ってきていた。

イーゼルが俺に、さっきより強く引っ付いてきた。


 扉があったので、それを開けてみると、そこには人間の女の姿をしたクリーチャーが座って何かの古くて大きい本を読んでいた。

 ヴィクター・フランケンシュタインか?いや、違う。あれは女だし。

なら、彼が造った人間か?


「勝手に入ってくるとは、無礼な方々ですね」

 クリーチャーは長く、ウェーブのかかった赤茶色の髪を、手でいじりながら言った。

「すまん、人がいたなんて知らなくて。あんたがここの主か?」

 俺はためらいもなく話しかける。

「ええ。わたしは、故ヴィクター・フランケンシュタインの造った、最後のクリーチャー。名をウィノラと言う」

「ウィノラ?」

「そうよ。あなた方はどうしてこの城に?」

「ああ、あの、雨が降ってきたので、雨宿りにと‥‥‥」

「この城に雨宿り?」

「ダメだったか?」

「討伐隊なら追い返しているところだが、ただの雨宿りなら、好きに部屋を使ってもらっていい」

「え、いいの?」

「ああ」

「でも、この城の部屋はどこも、長い間使ってないようで、寝るには掃除が必要なんだけどな」

 ウィノラはため息をついた。

「わがままと贅沢は顔だけにしろ」


 顔がそんなので悪かったな!


「この城の、この雰囲気が私は好きなのだ。好まないなら出ていけ」

「う‥‥‥、悪かったよ」

「ちなみに、この城は悪霊たちの住処にもなっている。彼らのことは放っておいてやれ」


 あ、地味にいるのね、そんな幽霊が。

 俺は信じてないが、いるというのならいるんだろう。


「俺たちには見えてないけどな」

「視覚化できるのは浮遊霊。見えないのは地縛霊ととらえていい」


 マジに、ガチでいるんかよ!


 俺たちは、ウィノラの部屋を出ていくと、比較的そんなに汚れていない部屋を見つけ、そこに寝袋をひいて、睡眠を取った。


イーゼルが俺の手を握ってきたのが、感触で分かった。

「イーゼル?」

「あ、あの、怖いので、寝付くまで手を握ってください」

「ああ、いいけどよ」

 俺の方が緊張して、眠れないじゃないか。


 ま、いいけどね。

 イーゼルの手は温かかった。


 そのまま、夜は更けるが、外の大雨と雷だけは、相変わらず音を立てていた。



今日は普通に更新できそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ