第百六十六章・エクル・エスペランザの支配は続く。
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第百六十六章・エクル・エスペランザの支配は続く。
俺たちはフランジータ寺院の食事をするところで、ソフィアとエルファが作った料理をごちそうになった。
塩も砂糖も使ってない料理が、こんなに美味しいとは!
こういうものばかり食べてたら、長生きできるだろう。
食事の後、寺院の中のあちこちを案内してもらう俺たち。案内役はソフィアだった。
世界中の宗教とみられる神を祀ったオブジェやタペストリー、書物などが展示されている、博物館のような場所があった。そこを順に見ていく俺たち。
宗教学的にも、その世界観はすごく惹かれるものがあった。
「そういや、ユニオン教とかいう宗教が、ここの寺院のスタンダードなんだろ?」
俺はソフィアに訊いた。
「はい。ユニオン教が、このフランジータ寺院の基本の宗教になります」
「それはどういう宗教なんだ?」
「多神教で、複雑な神の集まりですね。だから、たくさんの神を崇めることが出来るのですよ」
「へ~」
「旅の途中でサイクロプスに会ったでしょう?」
「え?ああ」
「ユニオン教徒で、フランジータ寺院の案内役の方なんです。スタッドアーガの荒野で迷われる人たちのために、いてくれるんですよ」
「そういや、モンスターってわけじゃなかったな」
「ユニオン教の信者なんです」
「なるほどな」
俺たち一行は、ひと通り寺院の中を見て回ると、外が夕暮れになっているのに気がついた。
「今日は泊ってください。部屋はたくさんありますので、その辺は心配ありませんよ」
そりゃどうも!
* * *
俺たちはその日、一泊させてもらうと、翌日には寺院を出ることにした。バイブルはもらったし、次はさらに北に行くことになるのだ。
門のところで見送るのはエルファだった。
「それでは、旅の無事を祈っております」
「ああ。それじゃな!」
礼をする俺たち。
「リューイチ、何か忘れてませんか?」
イーゼルが俺に言った。それもさりげなく。
「何だよ?」
「リンゴ売りのアリサと言えば分かるでしょう?」
「あ!」
完全に忘れていた。俺はエルファにダ・ガールまんじゅうが入っている箱を、おずおずと渡した。
「これ、おみやげです。お納めください」
エルファはそれを受け取りながら、笑った。
「おみやげなんて頂いたのは、久しぶりです。どうもお気遣いありがとうございます」
「いや、いろいろ勉強させてもらいましたから」
「姉たちとでいただきますね」
「そうしてくれるとありがたい」
「では!」
俺たちは北へ向かった。ついにカル・デールの北の領主に会いに行くのだ。
この旅は戦いに行くための旅であることを、俺たちは改めて感じた。
エクル・エスペランザの支配を断ち切るのだ。
今日の更新はここまでです。ご了承ください。では!!