第百六十二章・ぶっ潰せ!
今日は病院に行って、薬をもらってきました。体調が少しでも戻ってくれれば幸いです。
第百六十二章・ぶっ潰せ!
野犬たちは俺たちを、ぐるりと囲んでいる。ざっと、数十匹はいた。
半分でもやっつければ、残りは逃げていくだろう。
ということで、戦闘開始だ。
俺たち四人は、前後左右にそれぞれ向かって、背中を合わせ合う。
ひとり十五匹くらい相手にすればいいか。
一斉に襲い掛かってくる野犬のモンスターたち。
俺は錬金の剣で、コマドリ直伝の剣法を使い、連続して技を繰り出し、野犬を斬っていく。
さすがのチート。ほとんど負ける心配はしていない。
コマドリも忍者刀の逆手持ちで、素早く野犬を斬っていった。
イーゼルは、風の魔法を使い、かまいたちを発生させ、ズバズバと野犬を倒していく。
ルルチェは意外にも、回復魔法を強力に使い、回復過多で、野犬の内臓を破壊していくといった、発想の逆転で相手を倒していった。
十匹以上を倒したあと、野犬たちは勝てないと悟ったのか、他は逃げていった。
たかが野犬に負けるパーティーではないのだ。それだけの経験値は積み立ててる。
やられてコインに変わった野犬たちは、本当にモンスターだったようだ。
でも、倒してやった。これで先に進める。
俺たちはコインを拾い終わった後、夜が更けるまで、先を急いだ。
しかし、今日中にはこの荒野は抜けられないようだった。なので、巨人の建造物の中の、朽ち果てた内部に入り、そこで一泊することにした。
念のため、また野犬どもが寝込みを襲ってこないように、ルルチェに結界を張ってもらい、俺たちはその中で、明日まで眠った。
* * *
夜の荒野は寒かった。俺たちは持ってきた毛布にくるまり、朝まで寝ていた。
俺は誰かにつつかれているのを背中で感じた。
誰だ、俺にいたずらしてるのは?
目を覚ますと、俺は自分で毛布をはいだ。
寝起きはつらい。でも、俺を起こしたのはパーティーのメンバーではなかった。
俺の目の前に、一つ目の髭だらけの巨人、サイクロプスが杖をついて立っていたのだ。
びっくりして、俺は壁まで下がる。
「な、な、な、何だ!」
無言でサイクロプスは、俺たち全員を起こした。
俺たちは、サイクロプスの方を見つめた。
俺はルルチェに話しかける。
「なんでこの巨人、黙ったままなんだ?口がきけないとか?」
「いいえ。でも無口な人のようね」
「お前、話しかけてみろよ」
「え、わたしが?」
「頼む!」
俺はビビっているわけではなかったが、こういう奴は苦手だ。
交渉事はルルチェに任せよう。
「どうもこんにちは。わたしはダ・ガール・フォー・ルルチェ。ダ・ガールの直属の冒険者で、姫です」
サイクロプスは無言。
「あの、わたしたちは怪しいものではありません。この荒野の先にある、寺院に行く途中なんです」
サイクロプスは理解したのか、建造物を出ると、遠くの方を指さす。
もしかして、フランジータ寺院がある方を指しているんじゃないのか?
俺たちも外に出る。
荒野の先には地平線が見えた。日が出ている。まぁ、朝だからな。
とにかく、サイクロプスの指さした方に寺院があるということは間違いないようだ。
ルルチェは地図でも確かめていた。
「確かにあっちの方ね」
それを聞くと、サイクロプスは無言のまま、ゆっくりと去っていった。
何だか分からないが、もうすぐ寺院に到着するというのは分かった。
目的地は近い。
更新だけは続けていきたいです。