第百六十章・スタッドアーガの荒野の入り口にて。
ちょっと体調不良になりましたので、これを更新後、休息を取ります。
第百六十章・スタッドアーガの荒野の入り口にて。
ミノタウルスはモンスターだが気の毒だった。まぁいい。切り替え切り替え!
夜明けとともに、朝食にありついた俺たちは、そのあとカル・デール領内に入った。
「リューイチ、あなたは冒険やめたいと思ったことはあるわよね?」
ルルチェのいきなりの質問に、俺は慌てた。
そういや、そんなこと思ったことはあるなぁ‥‥‥。
「なぜそんなこと訊く?」
「リューイチはなぜ冒険するの?」
「そりゃ、冒険者だからだろ?」
「ダ・ガールの直属のね」
「ああ。今はそういうことになっている」
「前はどこかへ就職して、イーゼルと一緒に暮らそうとか思ってたでしょ?」
「は?イーゼルは関係ないだろ!そこまでは言った覚えねーよ!」
勝手に盛るな!
「でも、イーゼルが俺に言ってくれたことが、俺に再び冒険させる気にさせてくれたんだって、そう思って感謝はしているんだ」
「そういえば、この世のすべてのダンジョンや、海賊たちなんかがまだ攻略されてないから、それを攻略していくようにと、あの時言ってたわね」
「ああ、そうだ!」
「でも、相手はモンスターも魔族もいるけど、やっぱり本当に怖いのは人間よね」
一番怖いのは人間か。
昔のゾンビ映画で、そういうの描いてたなぁ。
話していると、荒野に続く道に出た。
ルルチェは地図を出して、場所の確認する。
「この先はカル・デールの人たちでも通らない、スタッドアーガの荒野よ」
「スタッドアーガの荒野?大層な名前が付いているな」
「それだけ危険ってことよ」
地図によれば、この荒野を越えたところにフランジータ寺院があるということだった。
「で、その寺院ってのは何があるんだ?」
「基本はユニオン教の寺院らしいわ」
「ユニオン教?知らない宗教名だな。初めて聞いた」
「この世界では、もっとも権威のある宗教よ。一般的に浸透しているスタンダードな宗教ね!でも、世界中の僧侶たちのために作られて、歴史も古いから、世界中の宗教の集まりでもあるそうよ」
「へぇ」
宗教に疎い日本人の俺は、あまり興味は湧かなかった。
「そういえば、リューイチはどの宗派なの?」
ルルチェは俺に訊いてきた。まぁ、知らないだろうが、一応言うと、
「俺は浄土真宗かな。ウチは、家がそうだった。仏壇もあったしな」
「ジョードシンシューって聞いたことも無い宗派ね」
「まぁ、それは忘れろ」
俺はルルチェに、強く言った。
別に、そんなに俺も自分の宗派についてはよく分かってないのだ。
だから、説明が出来ない。
しかも、母方のじいちゃんの葬式の時にしか、自分の宗派を知る機会も無かったしな。
「ほとんどの宗教が、この世界ではユニオン教なんだな?」
「ええ。大体はそうね。ダ・ガールもそうだし」
「神ってのは信じる方か?」
「わたし?そうね、祈りは捧げるから、信じていると思うわ」
「ふ~ん、そっか」
俺は宗教については特に詳しくはない。でも、宗教学的には興味はある。
つまり、宗教があったからこそ出来た建造物や、彫刻のデザイン、絵画やアクセサリーにタトゥーとか、その他のいろいろなアイテムなどのことだ。そういうのには芸術性もあるし、見ているとそれなりに面白い。
歴史も分かるしな。
「早く、その寺院は見てみたい。どんな寺院なんだろう?」
俺の興味はそこだ。
俺がかつて居た世界では、世界遺産に登録されている建造物や、宗教的遺跡などがたくさんあるからな。
さて、それはそうと、この荒野は一体どこまで続くのだろう?
「ルルチェ、この荒野はどこで終わるんだ?」
「まだ、ここはその入り口よ」
え、そうなの?
つまり、これからってこと?
マジか‥‥‥。
読んでくれる皆様には、感謝です!!感想などもお待ちしております!!