第百五十三章・コマドリの人気?
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第百五十三章・コマドリの人気?
ひとりで城下を歩いていたコマドリは、乾物屋の前で、二人組の男たちが、老婆のカバンを引ったくりするところに出くわした。
治安が良くないな。
そう思いながらも、コマドリは、体が勝手に動いていた。
忍者刀はダ・ガール城に置いてきたので、体術で二人の男たちを、あっさりとブッ倒した。
しばらくすると、衛兵たちが来て、引ったくりの二人をしょっ引いていった。
コマドリの活躍の話は、城下を音速を越えるように広まった。
コマドリ万歳の拍手が城下の人たち皆に伝わっていく。
たまたま俺は、そこに出くわした。
「リューイチ、助けてくれ!皆がわたしを称えて離さないのだ!」
「なんだ、良いことしたんじゃないのか?」
「そ、それはそうだが‥‥‥」
「なら、しっかり称えられろよ」
「冗談言うな!」
コマドリは本気で困っているようだった。
「あなたはコマドリさんっていうのですか?」
「すごいです!あれはどんな武術なのですか?」
「引ったくりを捕まえる自信があったのですか?」
「弟子にしてください!」
城下の人たちは、もはやインタビューのようにいろいろ訊いていた。
まぁ、コマドリはヒーロー、いやヒロインか、バトルヒロインとして認知されたようだった。そういうの好きな人いるもんな。
まるでマンガだ。
しばらく人ごみに、もみくちゃにされると、コマドリはやっと人々から放してもらえた。
「まったく、わたしは通りすがりの、ただの忍者だぞ?」
「いいじゃないか。褒められるってのは悪い気はしないだろ」
「それはそうだが‥‥‥」
「コマドリは真面目過ぎ何だよ。気楽に考えればいいのさ」
「そういうモンか?」
「ああ。お前はダ・ガール城下の英雄。それでいいじゃないか?」
「そんな。気恥ずかしい!」
しかし、翌日。
城下の道を歩くたびに、コマドリは、皆に話しかけられていた。
「あっ、城下の英雄コマドリさんだ!」
「握手してください!」
「強いのに、顔も可愛い!」
「あの和服姿がまた良い!」
コマドリフィーバーは収まってなかったようだ。
対応に困るコマドリ。
「なぁ、コマドリ。いっそこのまま、ここで、アイドルデビューしたらいいんじゃないか?」
「な、なんだよ、そのアイドルって?」
「人気ナンバーワンの有名人で、皆から好かれる人のことだよ」
「そんなのは性に合わん!」
「でも、もう有名人ってのは、もうクリアしているところなんだよなぁ」
「リューイチまでやめろ!」
「たかが、引ったくり二人を倒しただけで、こんなに人気者になれるんだから、それは誇ってもいいことだと思うがな」
しばらくの間、コマドリは人気者になったが、次第にそれも、落ち着いてきた矢先に、事は始まった。
今年もまた、ダ・ガールでミスコンが開催される日がやって来たのだ。
エントリーするのは誰でも構わなかった。二十歳以下の年齢に限られるけど。それには予選と本選があった。ホントにミスコンテストなんだな。こういうのはどこへ行っても必ずと言っていいほどあるもんだと思った。
城下中にチラシやポスターが張られている。
開催は翌日だった。
城下での話を聞いたルルチェは、面白そうだからという理由で、エントリーシートにコマドリのプロフィールを勝手に書いて、提出してしまった。
「コマドリ、明日のミスコンに出てちょうだいね」
と、ルルチェ。
「ミスコンって何だ?」
不安そうに訊くコマドリ。
「このダ・ガールの城下で一番の未婚の若い女性を決める催し物よ。あなたはうってつけだわ!」
「な、ななな、何だそれ?」
「メイクはダ・ガール城の専門の人に任せて!あなたは出場するだけでいいから」
「ば、バカな!そんなの恥ずかしいじゃないか!そなたが出ろよ!」
「残念!王族は出られないの。あくまで民衆の中から選ぶのが原則なのよ」
「わたしはダ・ガールの直属の冒険者のひとりじゃなかったのか?」
「わたしの鶴の一声で、出場と言えば出られるのよ。優勝すれば、賞品ももらえるし」
「いらんわ、そんなの!」
しかし、コマドリは言い負けてしまった。
「仕方ない。こういうのはちゃっちゃと終わらせて、すぐに普通の暮らしに戻るのが一番いい。どうせ一日だけだろ?」
「そうそう。そう来なくっちゃ!」
コマドリはミスコンがどんなものか知ってるのか?
たぶん知らないのだろう。
こうなりゃ、明日が楽しみになってくるじゃないか、オイ!
皆様のような読んでくれる方たちに、幸あれ!!