第百五十二章・ダ・ガールのお妃様と俺。
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第百五十二章・ダ・ガールのお妃様と俺。
ある日、俺はお妃様に呼ばれた。王様不在の時だった。
玉座の横に、お妃様の座がある。そこにお妃様は座っていた。
ルルチェのお母さんだった彼女は、冒険者の俺に話があると言ってきたのだ。
「どんな用件でしょうか?」
俺は所作が分からなかったので、失礼のないように気をつけた。
「リューイチ君、あなたには娘のルルチェが大変お世話になってます」
「いいえ、そんな。ルルチェはよくやってくれますよ」
これは別に建前でも何でもない。本当にルルチェは頼りになるのだ。
「ルルチェには、あなたのような人のところへ嫁いでくれればいいのにと思っていたんですが」
「え?いやいやいや。そんな‥‥‥」
「王が反対しているのは知っています。確かに冒険者と姫である立場のルルチェは釣り合わない。王族には王族の身分もありますからね」
「そうでしょう。王もそう言っておりましたから」
「ですね。だけど、あの子は結婚はしないでしょう」
「え、なぜですか?」
「あの子はいろんなことを学び過ぎました。賢くなり過ぎたのです」
「確かに‥‥‥。ルルチェは賢者になっているんですから」
「それならば、あの子には、とことん賢者として生きてもらいたいと思ってるんです」
どういうことだ?
「あの子の人生は、あの子自身に決めさせたいと思っているのです。だから、あの子のそばに、ずっといてあげてくださいませんか?」
「え、それは‥‥‥」
「もちろん、あなたはあなたの人生を送ってください。あの魔女さんとの間を邪魔したりはしませんし、させません」
「はぁ‥‥‥」
「でも、わたしの娘の、ルルチェの一生の友になってあげてください。それがわたしの頼みなのです」
そういうことか。
「大丈夫です!俺とルルチェとの間の友情の固さは、折り紙つきです。もちろんイーゼルやコマドリ、ベアトリアースにリエット。ポラリス姫、トドス王子。みんなルルチェの信頼関係と友情は特別なものです。だから、心配は無用ですよ」
「良かったわ!」
お妃様は、安堵のため息をついた。
「これもあなたとの旅や冒険の賜物ですのね?」
「いや~、そんな」
「ありがとう、リューイチ君!」
「俺だけの力ではありませんから。みんなと、ルルチェ本人の賜物です」
「そう言ってくれると、本当にありがたいわ」
「こっちも褒めてくださって、嬉しい限りです」
「では、今日も楽しく城の中にいてください。新しい冒険に行くまで」
「次の冒険は、もう決まってます。それまではここにお世話になります」
「そうですか。ではゆっくりお休みになってから旅に出てください。人生は一度きり。楽しまなくては損ですからね」
俺は旅を楽しんでいるのか?
ま、そうだろうな。
前世でイジメに遭って、引きこもって、ゲームしてた毎日よりもずっと、生き生きしてるんだなと思う。できれば前の人生で楽しく生きたかったけど、そうはいかなかったのが、とても残念だったが、俺はこの世界での新しい人生を、ちゃんと全うしなければと、強く思った。
冒険者の人生、万歳!
今日も頑張って、ノルマを達成します!!