第百五十一章・ダ・ガールの祠を拝みに行こう!
今日は病院に行ってきましたので、更新が遅れてすみません。
第百五十一章・ダ・ガールの祠を拝みに行こう!
俺はルルチェに教えられて、ダ・ガール城の地下通路のことを知った。
その通路から、城の裏手に出られるというのだ。そしてそこから石の階段を登れば、ダ・ガールの祠にたどり着くらしい。
つまり、ルルチェは俺に、イーゼルを誘ってそこへ行けと言うのだ。
俺が誘う番か。マジで?
部屋にいたイーゼルに俺は、一緒に祠に行かないかと誘ってみた。
意外にも、イーゼルは笑って申し出を受けてくれた。
イーゼルをこんなに可愛いと感じたことはない。
俺とイーゼルは、ルルチェの言ってた地下通路へと足を運ぶ。
「リューイチ、やっぱり暗いところはわたし、苦手です」
「怖いのか?」
「少し‥‥‥」
「じゃあ、俺につかまってろよ」
イーゼルは、俺の腕に組み付いてきた。
イーゼルのぬくもりが伝わってくる。
俺はリードするように、一緒に地下通路を通っていった。
出口は明るかった。太陽の光がまぶしく感じる。
「もう出られるぞ」
「はい」
通路を出たあと、石で出来た階段が、上の方まで伸びているのが分かった。
「この上らしい」
俺の腕にはまだ、イーゼルがくっついている。
そのまま俺とイーゼルは階段を上った。
ひっそりとした木々に囲まれた場所に、祠はあった。
「これがダ・ガールの祠か」
イーゼルはやっと、俺から離れた。
「ここにわたしを連れて行きたかったんですか?」
「ああ。まぁ、特にどうってことはない、ただの祠だけどな」
「でも、ここは霊的なものに近い何かを感じますね」
「そうか?」
「ええ」
イーゼルは祠を覗き込むように見た。
「ざっと、300年前くらい前に作られたようですね。小さく刻まれています、この祠の横に」
そんなに古いものなのか、これは。
「ここは祠以外は、何もなさそうだな」
「この祠は、何を祀っているのでしょう?」
「さぁ。それは訊いてないな」
イーゼルは祠を見回した。
「神の一種でしょうけど」
「まぁ、祠だからな」
「古代のルシフィーネ教の女神でしょうか?」
え、おい!それって‥‥‥。
「いえ、古代のルシフィーネ教は邪教ではありませんよ。古い宗教です」
「そうか‥‥‥」
まあ、あの女神ルシフィーネがこの世界に転生させてやったであろう奴が、俺やカンダタの他にまだいて、そういう奴が、彼女を崇めたりするってのは、この世界の歴史上では普通にあり得るかもな。
一応、拝んでおこうか。
俺は祠に手を合わせる。仏様じゃないが、俺の感覚では祠には合掌が当たり前だ。
俺もカンダタも、それなりにはやってるよ。カンダタの方は、ちょっと問題はあったけどな。今はもう、大丈夫だろう。
少しして、イーゼルが俺の顔を覗き込んだ。
「もしかして、カンダタさんのことを、思い出しましたか?」
「ちょっとな」
「優しいんですね、リューイチは」
え、俺は褒められたのか?
「そ、そうか?」
「優しい人は素敵だと思います」
お、俺はそんなに優しくはないぞ?
「イーゼル、俺はそんな男じゃないよ」
「私がそう思ってるってことが、大事なんです」
「そ、そういうものなのか?」
「ええ。そんなあなたが、わたしは‥‥‥」
「え?」
イーゼルが固まった。
どうした?
「いえ、やっぱりいいです」
「え?」
「何でもないです、リューイチ」
そう言うと、イーゼルも俺と同じように手を合わせた。
そのあと、俺とイーゼルは、再び城へ戻った。
読者の皆様に感謝です!!