第百五十章・共存しなよ、お前たち!
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第百五十章・共存しなよ、お前たち!
ダ・ガールへと戻った俺たちは、ルルチェの計らいで、ファティア・エミリア・プロコトと七人の部下たちは、軍隊に配属が決まった。
あとはミイラのシーイだ。彼女は不老不死だ。ミイラだからな。
「なぁ、提案なんだが‥‥‥」
俺がルルチェに言う。
「何?」
「シーイは鍛冶屋のケイトに預けたらどうかな?」
「ケイト・シュルエットに?」
「ああ。どっちも不老不死だしな」
「そうね‥‥‥」
俺とルルチェの判断で、ケイトのところへシーイを連れて行くことになった。
* * *
ケイトが住む森の中の、コテージにシーイを連れて行った俺とルルチェは、ケイトにシーイを紹介した。
「何だ、今度はミイラを預かれというのか、わたしに?」
ケイトは不機嫌そうな顔をした。
「お茶くみから始めます。ここに置いてくださいませんか?」
シーイはケイトに言った。
「ミイラじゃ血も吸えんな」
「確かに血は無いですけどね。ミイラですから」
俺は「頼むよ、ケイト」と、お願いした。
「まぁ、それじゃまた、お前の血をもらうぞ?」
「分かったよ」
俺はケイトに首元から血を吸われた。
また不思議な感触に襲われた。もう快感だ。
ヤバい道に走っていく気がする。
血を吸われ過ぎて、俺もミイラになりそうになった。
ギリギリのところでケイトは、俺の首元から口を離した。
またルルチェに、回復魔法をかけてもらう俺。
今回が一番死にそうだった。
さすがのチートも出血は死につながる。
「じゃあ、これでシーイを置いてもらえるな?」
「ああ。約束は守る。一人だと退屈するしな。誰かがいてくれると、とても良い」
「共存する吸血鬼とミイラか。シュールだな」
シーイも、「お師匠様!」と、頭を下げた。
これから一緒に生きていくのだ。師弟関係を持つのも良いだろう。
話はまとまった。これで一件落着だ。
「ところで、女よ。お前は賢者なのか?」
ルルチェに話しかけるケイト。
「え?ええ、一応‥‥‥」
「賢者なら、一度は行った方が良いところがあるんだが、行ったことはあるか、フランジータ寺院に?」
「フランジータ寺院?」
「ないのか、あそこへは」
「ええ。行ったことはないわ」
「わたしは吸血鬼なので、教会には近づけないが、寺院なら行くことが出来る。賢者なら行って、バイブルでももらってきたらどうだ?」
「バイブル?」
「そうだ。それも修行の内だぞ」
「それは盲点だったかもね。寺院か‥‥‥」
「ああ。行った方が良い」
「情報をありがとう!」
「気にするな。お礼に血をくれ。若い女の血が欲しい」
途端に嫌な顔をするルルチェ。
そうだよなぁ‥‥‥。
「じゃあ、リューイチの血をまた‥‥‥」
「おいおい、待てよ!」
「お願い!」
「たった今、血を吸われたばかりなんだぞ?」
「イーゼルと二人っきりの時間を作ってあげるからさ!」
どういう取引だ?
まぁいい。
再び首筋を差し出す俺。
また血を吸われた。
ミイラ化直前で吸血が終わる。
そしてまた、回復魔法。
何度俺は、血を失ったのだろう?
「もうこれ以上はゴメンだからな!」
「はいはい、分かってるわよ」
ルルチェは俺の頬にキスをした。
ちょっと待て!
そんなマネされても解せん。解せんぞ!
犬の散歩があるので、早めに更新します!!