第百四十八章・ミイラはモンスターでも魔族でもありません。
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第百四十八章・ミイラはモンスターでも魔族でもありません。
ルルチェはミイラのシーイに話しかけた。
「あなた、モンスターじゃないの?」
「いいえ、違います。わたしを倒してもコインにはなりませんよ」
「じゃあ、魔族?」
「いいえ、それも違います。ただの砂漠のさすらいミイラです」
さすらいミイラって‥‥‥。
「じゃあ、人畜無害なのね?」
「はい。自分でもそう思います。不老不死ですし。あ、もう死んでますけどね」
「じゃあ、ダ・ガールへ来ない?」
「え?」
「わたしたちと一緒にダ・ガールで生活してみないかしら?」
「生活?博物館の展示品のひとつじゃなくて?」
「あなたはまだ、生きてるじゃない!」
「いえ、死んでますけど‥‥‥」
「まぁいいわ。とにかくダ・ガールには魔族や魔女が住んでるワケだし、あなたも来たらいいわ」
「そちらへ行って、どうするんです?」
「お茶くみから始めて、そこからどんどん出世したらいいわ」
おいおい、どっかの会社員になれみたいな話になって来てるぞ?
食いっぱぐれたホームレスを新規雇用で働かせるみたいなものか?
相手はミイラだぞ?
「ミイラに手伝ってもらうことには全然抵抗はないわ。どう?」
「そ、そう言われましても‥‥‥」
「博物館の展示品になるよりは、良い話でしょ?」
「そう、ですね‥‥‥」
「じゃ、決まり!あなたを討伐する理由はもうないわ」
「いいんですか、本当に?」
「ええ。あなたは真面目そうだし、しっかりしているわ。こちらからお願いしたいくらいよ」
「そう言っていただけるなら、喜んで!」
「じゃあ、ダ・ガールへ行きましょう!」
ルルチェは今度はミイラを雇い入れる気なのか。ちゃっかりしてるな。
しかし、2000年前の王女が一度死んで、ミイラになって、今度はダ・ガールの公務員として働くなんて、数奇な人生を歩む者がいるもんだな。
ま、ダ・ガールのことだし、俺には関係ないか。
いや、待てよ?
俺もいつの間にか、ダ・ガール直属の冒険者ということになってるんだよな。
ダ・ガールは相当な物好きかよ!
と、ミイラのシーイと話してる時に、そこにさらに現れたのは、あのファティア・エミリア・プロコトと、その部下七人だった。
「ゲッ、お前たち!」
俺は驚く。
「冒険者たち、話は聞かせてもらったぞ。わたしたちも雇入れてはもらえないだろうか?」
何?
「わたしたちも行き場が無いのだ。頼む!」
ルルチェはそれを聞いて、少し考えてから、「それじゃ、ダ・ガールの軍に入隊するのはどう?」と、答えた。
ルルチェも人が良いな。
俺が言うのも何だが‥‥‥。
俺の人情が伝染ったのか?
「まぁ、それでいいのなら、俺は軍人になろうが、役人になろうが、どうでもいいけどな」
俺はため息をついた。
ダ・ガールよ、国に幸あれ!ってか。
今日は早めに更新したいと思います。