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第百三十九章・ダ・ガールから送る手紙

読んで頂いている皆様に感謝です!!

第百三十九章・ダ・ガールから送る手紙



 俺たちはある日、城下に下りた。ダ・ガールの城下は相変わらず賑わっている。

午前中の時間だったが、散歩にはちょうど良い時間帯なのだ。

しばらく歩き回っていると、素早い動きで人ごみをすり抜けて、ダ・ガールの郵便局に向かう少女を見かけた。


「あれはセーラじゃないか?」

 俺は指さす。

「そうね。あの子だわ」と、ルルチェ。


 俺はセーラの前に来て、呼び止める。

「よう、セーラ!」

「あっ、お兄さん!」

「俺の名は、リューイチだ」

「まぁ、いいじゃないか。お兄さん」

「ったく。郵便の仕事はもう慣れたのか?」

「あったり前だろ!これは私の転職かもな」

「スリのスキルが郵便配達に生かされるとはな」

「ああ。もうスリなんかしなくても、生きていける」

「体だけは大事にしろよ。体が資本ってよく言うだろ?」

「丈夫で言うなら私は折り紙付きさ」

 セーラは郵便物を入れた皮のカバンを下げていた。

「そういや、お兄さんたち、手紙とかは無いのかい?」

「え、俺たち?」

 俺はイーゼルたちの方を見た。


あるか?


 俺は無言で尋ねる。

ルルチェが、「ポラリスに手紙を書こうかと思ってはいたけど」と、言った。

「カルデッド島の獣人族のリルエにも書きたいですね」と、イーゼルも言い出した。

「わたしはダン・ルーエの海軍将軍のトゥエルに書いてもいい」

 コマドリも手紙を出すアテはあるようだ。

「俺は特にないな。だいたい俺は住所とか知らないから、送ろうにもどこの誰に書いていいのかも分からないしな」

「そうかい」

「そういや、お前の妹のクララは?」

「ああ、クララは仕事のし過ぎで体調不良を起こして、寝込んでいる」

「え、マジか?」

「そうなんだよ。だから私が余計に働かないと」

「クララに回復効果のある薬草を持っていってもらいたいな」

「それは助かる!あとで郵便局に持ってきてくれよ」

「分かった」


 俺たちは一度、ダ・ガール城に戻った。


*        *        *


「手紙、ですか?」

 話を聞いたベアトリアースが、興味を抱いたらしい。

「ちょうど良い機会ですね。カル・デールにいる、魔族のエミリディアに手紙を書きましょう」


エミリディアか。そんな魔族もいたな。


 俺たちは昼食を済ませると、図書館でそれぞれ手紙を書き始めた。

お互いに、どんな内容の手紙なのかは秘密。


俺に関しては、薬草を調合した薬と、ちょっとした手紙を送ることにした。

クララに宛てた、簡単な文章だけだった。


 全員が手紙を書き終えると、俺が預かった。


薬付きの手紙がひとつと、他の手紙を持って、郵便局に持っていく。


 セーラにそれらを渡した。

「クララのために、薬ありがとな、お兄さん。感謝するよ」

「これくらい、いいさ。頼んだぞ?」


 セーラは、郵便配達の旅に出た。


 あいつも頑張ってるんだな。

 俺は安心してセーラを見送った。



総アクセス数が15000に近くなってきました!!読者の皆様には感謝しか無いです!!

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