第十三章・何か冒険くれ!
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第十三章・何か冒険くれ!
スライムを撃退した俺たち一行は、町に歓待された。
初めて冒険者として迎えられたようだ。
ギルドの店主のエルフさんは初めて自分の名を明かしてくれた。
マイナリースという名だった。
マイナリースは食事とドリンクをたっぷりとおごってくれた。
さらにはどこでそんなに強さを手に入れたのかを聞いてくる人たちもいて、困った。
俺の他にも自分がダ・ガールの姫であることをひたすら隠しながら話すルルチェや、魔女のことをもっと教えて欲しいと言われるイーゼルや、戦士には見えないが戦士のような戦う忍者のコマドリも人に囲まれる。
今日はいい気分だ。
さて、俺たちはこの町ではイレギュラーだが存在を認知してもらえたようだ。
たかがスライムを3000匹ほど倒しただけなのだが。
だいたい俺はこれ以上レベルが上がることはないのだ。だって最初から最強なのだから。
さらに上は無いのだ。
と、なると、気になるのはイーゼルたちのレベルだ。
あれほどの戦闘が行われたのだから、レベルは全員上がっているだろう。
あとでみんなに訊いておこう。
と、いうか、今は町の人たちが優しい。優しく接してくれるのだが、こんなに仲良くしてくれるのには少々抵抗がある。
信じたら裏切られる。そんな目には遭っていて、いや、前世での話だが。なぜだか逆に相手にされないぐらいの方が、割り切れるのだ。
どうしてだろう?俺は裏切られるのが本当は怖いのか?
でも、イーゼルやコマドリやルルチェは一緒に旅をしてくれる。でも、それは俺がチートだからだろ?
ステータスを知って仲間になってくれただけなんだろう。
この世界も実はシビアなのだ。実力が求められる。
それに答えられなきゃ誰にも相手にしてくれないんじゃないのか。
ここに来る前、俺をチートにしてもらったから俺は存在できるのだ。
もし俺がチートでなければ‥‥‥。
あの時、女神ルシフィーネが何兆分の一だったかのミスで、俺の人生を一度終わらせてくれたから‥‥‥。
冒険やめたら俺の存在意義って?
ああ、いかん、考えがネガティブだ。
もっと前向きに生きていこう。
よし、もう一回冒険に出よう。
みんなならまた、冒険に行きたいと思ってくれてるだろう。
冒険が俺の存在意義なのだ。
もっと冒険しよう!
翌日、俺は宿の朝食を食べるテーブルにみんなを呼んで、さっそく話を切り出した。
「なぁ、昨日スライムの軍団が来る前にイーゼルが言った話なんだけどさ」
「え?」
イーゼルは反応する。
「いや、冒険の話だよ。イーゼルが言ったように、まだまだ冒険できるところはいっぱいあるんじゃないのかってやつ」
「ああ」と、コマドリ。
「それで?」ルルチェも反応した。
ん、そういやこいつが一番冒険を欲してるやつなんだっけ。
で、イーゼルが独り立ち、そしてコマドリは自分のレベル上げ。
そういう目的だったな。
「ギルドのマイナリースに訊けば、それ相応の冒険の手配はしてくれるかもしれないんだし」
「ふ~ん」と、ルルチェ。
「だからどうか、みんな、俺のパーティーで冒険してくれ」
「ん?何だその含みのある言い方は?今さら何だ?」コマドリが言う。
「いや、俺たちは目的はそれぞれ違うけど、これからも一緒に旅が出来たらいいかなって思って」
「何を言ってるんですか。わたしたちはもう仲間じゃないですか!」と、イーゼルが言った。
「仲間は友達とは違うんですよ?どれだけ自分の背中を任せられるかで決まるんですから」
「そうよ。どれだけ相手を信じられるかで決まるのよ?今さら何言ってるの?」
ルルチェも言う。
「…………」
「何黙ってるんだ、リューイチ?わたしだってこんな低いレベルで冒険者と旅ができるのか、見捨てられるんじゃないかって、少しは不安になったりすることもあるんだよ?」
コマドリが、そう言った。
俺は少し、目を赤くして、涙を潤ませてしまった。
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