第百三十二章・トロッコ〈後編〉
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第百三十二章・トロッコ〈後編〉
迷路のような坑道を進む俺たち。ルルチェが壁に張ってある坑道のトンネルの地図を見つけた。ボロボロだったが、読めないことはなかった。
「この地図の通りだと、右に行って、その次もその次もその次も右みたいね」
「なんだ、その雑な説明は?」
俺はルルチェに言う。
「だってそう書いてあるのよ」
「なら、近道とか無いのか?」
「ちゃんと道順通りに行かないと、出口にはたどり着かないようになってるの」
「ふ~ん」
俺はルルチェを先頭に立たせた。
ルルチェは地図と、にらめっこしながら、先へ進む。
「え~と、この先にも別のレールがあるわ。それに沿ってトンネルを抜けるしかないわね」
ルルチェの言う通り、レールがあった。
「これを辿ればいいのか?」
「そうみたい。地図によればだけど」
「何か聞こえないか?」
耳の良いコマドリが、何かを聞きつけたようだった。
「何か聞こえるのか?」
「ああ。水の流れる音のようだ」
「水?」
音が聞こえる方に、坑道は続いていた。
確かに何かが流れるような音だ。
それを確かめるために、速足で音のする方へ急いだ。
坑道に水が流れていて、一種の川のようになっていた。
「この川を行くのか?けっこう流れが速いぞ?」
ルルチェは地図を見た。
「この道よ。でも、川になっちゃってる」
「泳いで行くしかないな。俺は海賊の一件で、水恐怖症は、少しは克服したけど」
「本気?」
「泳げないのか、お前?」
ルルチェはかぶりを振った。
「泳げるわよ。でも水に濡れるのは、これ以上嫌なの」
「そうか‥‥‥。違う道はないのか?」
「坑道を抜ける道はここしかないみたい‥‥‥」
「じゃあ、やっぱりこの川を泳ぐしかないな」
「水着なんて持ってきてないわ」
「じゃあ、どうするんだ?」
コマドリが、「トロッコをこの川に浮かせて、それに乗っていけばいいんじゃないか?」と、提案してきた。
「それ、いいかもな!」
全員がそれで納得した。
俺は二両のトロッコを運んできて、川に浮かべる。ちょうどいい船だ。
それぞれが、また乗り込んだ。
「ひっくり返らないように、気をつけろ!」
川の流れに乗って、トロッコは進む。
やがて、出口が見えてきた。
トロッコで坑道に入り、トロッコで外に出たのだ。
「ヤッホー!」
俺は意味もなく叫んだ。
これぞ、冒険ってもんだ!しかし、降りるタイミングを忘れていた。そのまま、トロッコごと滝に落ちてしまった。
川から這い上がる俺たち。
皆は無事だったが、結局俺たち全員はずぶ濡れになってしまった。
俺たちは枝を集めて、イーゼルが火の魔法で枝に火をつけ、たき火をした。それで服を乾かす。
風邪でも引いたらバカみたいだしな。
「やっとこさ、坑道を出られたぞ」
「こんなのコリゴリです」
イーゼルが力無しに、そう言った。
「まぁ、あとは特に問題はないだろう」
「油断してると痛い目に遭いますよ」
はい、すみません‥‥‥。
痛い目に遭わない冒険などないのだ。
読んでくれる皆様に幸あれ!!