表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/479

第百三十一章・トロッコ〈前編〉

トロッコ・アドベンチャーは男の子の憧れです!!

第百三十一章・トロッコ〈前編〉



 馬車で移動した俺たち一行。その先は地図には載っていないが、鉱山がある。

この辺に坑道があるのか?

一度止まった馬車を下りて、俺は草むらを手で分けていった。


ああ、これか!


 そこには、小さなレールがあった。これは鉱山に続いている。坑道もその先だろう。

俺は皆に馬車を下りるように言った。

「ヘ、ヘビとかいないですよね?」

 イーゼルが小さくなって困った顔をした。

「おいおい、ヘビが怖くて魔女やってられるのか?」

「だって、気持ち悪いんですもの。暗闇やダンジョンは、まだ我慢できます。怖いし、苦手ですけど。でも、ヘビは‥‥‥もっとダメです!」


まぁ、そういう魔女がいてもいいのかな?


「しかし、坑道はこの先のようだ。レールに沿って歩いた方がいい」

「リューイチが言うのならいいでしょう」

 と、ルルチェが言った。

「どうせこの先は地図には載っていないのだから」

「ああ。ま、いいんじゃねーか?」

 あとはコマドリだ。

「わたしもリューイチに賛成だな。わたしも忍者の端くれ。合理主義だからな。うん、リューイチの意見には大賛成だ」


言い方がいちいち大げさだな。まぁ、いいか。


 俺たちはレールの向かう先に足を運んだ。

やっぱりというか、その先には閉鎖した鉱山が見えてきた。

鉱山の入り口付近には、大量のトロッコが山となって積み上げられていた。

何百とあるトロッコが、無造作に山を造っている光景を見るのは初めてだ。

「ここはホント、さびれてるな‥‥‥」

 何か、ため息が自然に出るのを覚えた。

「この先にもトロッコがあるぞ」

 そう言ったのはコマドリだ。

よく見えるレールの上に、二つ連結してあるトロッコがあった。

「あれに乗ろうぜ!」

 ちょっとテンションが上がっていく俺。

「ま、待て!あれで坑道の中を行くのか?」

「ああ。面白そうだろ?」

「いや、不安しかない‥‥‥」

 俺はトロッコを加速させるために、トロッコを押した。

うん、軽いや!

何せ、俺は力もチートなのだから。

ずっと押していると、下り坂になっていった。その先もレールが伸びている。

「よし、みんなで乗ろうぜ!」


 ルルチェは、「男子ってこういうゴッコにたいなの好きよね」と、つぶやいた。

「しょうがないですね。わたしも乗ります」

 最初にトロッコに乗ったのはイーゼルだった。

二両あるから、一つのトロッコに二人乗ればいいことだ。

先頭のトロッコにはルルチェとコマドリが乗り、二両目には俺とイーゼルが乗る。そのままトロッコは、坂のレールを下っていった。


おお!これぞ冒険じゃないか!!


 俺も昔は子供の頃、草スキーを近くの丘で滑って楽しんだものだ。その時はたくさん仲間がいた。あいつらは今、どうしてるだろう?

まぁ、俺みたいに死んではいないだろうけど‥‥‥。


 しかし、このトロッコは、勝手に坂を下ってはいるが、止まる気配はない。むしろ、どんどん加速していく。


坑道のトンネルの入り口が見えた。

『この先、危険』のプレートが道をふさいでいたが、レールはそこに伸びている。

ああ、ヤバい‥‥‥。


 トロッコはそのプレートをぶち破って、トンネルの中に入っていく。

てか、スピードが出過ぎだ。

ガラガラガラと、錆びた車輪が摩擦で火花を上げる。

坑道の中はヒンヤリしていたが、それを感じる間もなく、トロッコはレールの上を走っていった。

トンネルの中は、だんだん広くなってきて、レールが二つに分かれているのが見えた。


右に行けば、線路が無い。左しかない。でも、レールはこのまま行くと、右に行ってしまう。

そばにポイント切り替えのレバーがあった。

 俺は身を乗り出すと、鞘に入った錬金の剣を伸ばして、レバーを思いっ切り叩いてポイントを切り替えた。

すんでのところで、トロッコは左の線路に入る。別のトンネルに進むトロッコ。


あ、危なかった。


 トロッコの速さはもう、ジェットコースターのようにスピードを上げていた。

「リューイチ!このままじゃ止まらないわよ!」

 ルルチェが声を荒げてきた。

「分かってるよ!」


ガラガラガラと、トロッコはよく脱線もせずに走っていた。

その先の線路は、水たまりに浸かっていた。

トロッコはその水たまりにバシャーンと突っ込み、止まった。


全員、水浸し……。


 最悪だった。だいたい俺は水が苦手だというのに、ああ‥‥‥。


「ちょっと、もう‥‥‥」

 ルルチェとコマドリが水たまりから出る。幸い、俺とイーゼルのトロッコは、水たまりに少しだけ浸かっている状態だった。

 俺たちはトロッコをその場で捨てると、そのままトンネルを進んだ。


女子には大ひんしゅくだった。



読者の皆様に感謝しています!!読んでくださり本当にありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ