第百三十章・ジェイドおばさんの手料理。
今日は天気が悪いですね。小説書いて、気分もスッキリしたいです。
第百三十章・ジェイドおばさんの手料理。
ダ・ガールを出る前に俺たちは、城下でも有名なカフェに立ち寄った。
店の名は『ガルーダの食堂』。
ここは有名だが、各地の郷土料理を出すことで有名なのだ。好きな人は来るが、そうでないレストランなどへ行く人は立ち寄らない、そんな場所だった。
俺たちは店に入ると、奥のカウンターに座った。
「ルルチェ、よくこんなところ知ってたな」
「まぁ、ある意味で有名だからね」
「ひょっとして、貧困問題の解決のために城下に下りてから、見つけたんじゃないのか?」
「うっ、鋭いわね‥‥‥」
だいたい分かるよ、そんなこと。
「ここの店主のジェイドっておばさんは、とても料理が上手でね。メニューとか無いのよ。その日の気分で出される料理が違うってだけなの」
「へー」
じゃあ、注文とか無いのか・・・・・・。
店の奥から、ジェイドおばさんが出てくる。
「あら、お姫様。いいえ、冒険者でしたっけ?それとも賢者?」
「賢者でいいですよ」
と、ルルチェは言った。
「今日はラタトゥーユなんだけど、いいかしら?」
「ラタトゥーユ?」
ああ、あのイタリアだかフランスだかの郷土料理か‥‥‥。
「じゃあ、それを食べてみたいわ」
「じゃあ、人数分作るから、待っててね」
ジェイドおばさんは、そう言うと、奥の調理場へと行ってしまった。
ん?
俺はカウンターの裏にある小さな茶色い壺を見つけた。なんか年季の入った壺だな。
しばらくすると、店の奥からいい匂いが漂ってきた。これだけでも食欲をそそる。
そして、お盆に載せられた、ラタトゥーユが四皿持ってこられた。
「これがラタトゥーユ」
ルルチェだけでなく、イーゼルやコマドリも目を輝かせる。
「じゃ、いただきます!」
俺たちはラタトゥーユを食した。
「これは美味い!」
俺は声を上げた。
「確かにこれは野菜を贅沢に使った、本物の味だ!」
コマドリもうなずいた。
「こんなの、わたしの母の手料理を思い出します!」
イーゼルらしい感想。
「王宮でも、こんな料理は食べたことないわ!」
王族が食べる料理に慣れたルルチェでも、うなずかざるを得なかったようだ。
なるほどな。俺の前世でも、こういう店って、たまにあったよな。
「あなたたち、また冒険に出るんでしょう?」
「ええ。またわたしたちの武勇伝を聞かせてあげたいわ」
ルルチェが自慢げに言うので、俺はフッと笑った。
「それはそうと、そのカウンターの裏の壺は何です?」
俺はその壺を指さした。
「ああ、これ?」
ジェイドおばさんは壺を手に持った。
「これはゾミーと言って、貴重な発酵食品の一種なのよ」
「へ~」
「秘伝のものなの。でも、使い方がよく分からないけどね」
「そういうものもあるんですね」
「リューイチ、秘伝なのだから、あまりツッコむのは良くないわよ」
ルルチェにたしなめられてしまった。
「分かったよ」
俺たちは食事を終えると、代金を払い、外へ出た。
「じゃあ、行くか!プルストーンまで」
「リューイチが仕切ると不安だな」
と、コマドリが言った。
「悪かったな、コラ!」
読者の皆様に感謝します。いつも読んでくれてありがとうございます!!皆様に幸あれ!!