第百二十五章・錬金術師の正体!
小説を書いてると、ほどよく疲れます。それで寝つきが良くなる時もあります。
第百二十五章・錬金術師の正体!
俺たちは鍛冶屋の住むコテージに入った。リエットが先に中に入る。
「まさか、ドワーフじゃないよな?」
「いいえ、ちゃんとした吸血鬼の女性ですよ」
「へ~」
ん?今、何と言った?
「吸血鬼で鍛冶屋で、錬金術師でもあるケイト・シュルエットさんです」
その得体の知れない女の子が、片手で鉄を打ちながら、もう一つの方の片手で、本を読む姿を見て、ホントに鍛冶屋だと思った。俺たちには読めない文字の本のようだったが。
でも、そのゴスロリファッションはいただけない。西洋のヴァンパイアか?
「おや、リエットじゃないか。二か月ぶりくらいか?」
「はい、ケイトさん」
「今日は誰か連れて来たのか?」
リエットの後ろにいる俺たちに、目をやるケイト。
「ケイト・シュルエットさん?」
俺は遠くから話しかけた。
「ええ。三百年以上生きている吸血鬼の、ケイトだ。よろしく」
なんか、普通の十八歳くらいの女の子に見えるが‥‥‥。
え、何?三百年以上生きてるんだって?
「錬金術の研究をしているというのは本当なのか?」
どうにも、そうは見えなかったが、三百年も生きているのなら、研究していてもおかしくはない。
「わたしは力も人間の数十倍あるしな。それに不老不死だ。だから、暇を潰すために趣味で始めたのが、錬金の研究だ」
巨匠か?
「錬金で出来た剣があると、リエットに聞いたのだけれど‥‥‥」
「ああ、それならあるぞ。売れるもんなら売ってやっていいが‥‥‥」
「いいのか?」
「じゃあ、対価として、お前たちの生き血をもらうとするか」
「あ、うん!」
って、いきなり血を要求された!
「え、生き血って、俺の?」
「いや、それだけでは足りぬ。パーティー全員の血をもらう」
「マジでか?」
「わたしは吸血鬼だからな」
リエットが、「わたしも助けられた時、体調が回復したら、血を飲まれました」と、言った。
そんな余計な話は聞きたくない。
「じゃあ、俺の血はどうぞ」
しかし、やはりというか、他の三人は嫌がった。
「血を吸われるなんて気持ち悪いです!わたしは嫌です!」
イーゼルが露骨に嫌がった。
「わたしも嫌だが、しょうがないとなれば、少しぐらいは吸われてもかまわんぞ。嫌だけどな。ホントに当然、嫌だけどな!」
コマドリはそう言った。
「ルルチェは?」
俺は恐る恐る訊いた。
「仕方ないわね。ちょっとなら吸ってもいいわよ。嫌だけどね!」
嫌を強調しているので、やはり皆は嫌なんだろう。
「じゃあ、金は払うから、それで別の人の血を買うってのはどうだ?」
俺は新提案してみた。
「血なんて売ってると思うのか?血が無くても生きてはいけるが、血の飲み貯めはしておいた方がいいからな。それに、若い奴の血は貴重だから、特別にたくさん欲しいとも思うしな」
剣を受け取るには、血を飲まれるしかないのか?
「なぁ、みんな頼むよ」
「いっそのこと、この吸血鬼を討伐して、剣だけ頂いた方が良いんじゃ‥‥‥」
小声でコマドリが言った。
「聞こえるぞ」と、俺も小声で言う。
「聞こえてるけどな、お前ら」
ケイトは俺たちにハッキリと言った。
「うっ、すまん‥‥‥」
俺は平謝りをする。
「で、どうするんだ?」
ケイトは俺に訊いてきた。
「どうするって、俺はいいが‥‥‥」
「お前の血だけでもいいがな。でも吸い過ぎて死ぬかもしれないぞ」
「え、マジで?」
その時、ルルチェが思い付いたことがあると言い出した。
「な、何だよ?」
「良い解決法よ!」
何を思いついたんだ、ルルチェ?
読者の皆様も夜、安眠が訪れることを祈っております。