第百二十四章・錬金術師のところへレッツゴー!
この季節になると、朝が寒いですね。
第百二十四章・錬金術師のところへレッツゴー!
リエットの案内で、俺たちはとある森の中へ入っていった。モンスターは出てこない。
「この辺は静かですね」
と、イーゼルが言った。
「ここはダ・ガールからかなり離れた森ですから、樹海やジャングルとは違って、大自然の森なんですよ、先輩」
「ふ~ん」
どうやら、この二人は和解しているようだった。普通の先輩後輩の関係に戻ったって感じか?
まぁ、イーゼルが強いのは分かっているが。何せ、彼女のミサイル攻撃ひとつ出させないまま、勝負が着いたのだから。
あ、そういう対決方法ではなかったな。
「先輩はリューイチとはどこまでいったんですか?」
牛乳を飲んでいたら吹いていたくらいの質問だった。
突然、何を言い出してんだ、この魔女は!
「どこまでってどういう意味ですか?」
「決まってるじゃないですか!」
「わたしとリューイチは付き合ってませんから」
地味に心臓に矢が刺さったぞ。俺の純粋で繊細なハートに矢を撃つな、コラ!
「あのな、そういう話はここではするな」
「え、でも、安心して先輩を任せられるかどうか、気になるところですから」
「イーゼルは一人でも十分生きていけるさ」
「え?それはどういう意味なんですか、リューイチ?」
リエットがいると、話がややこしくなるな、ホント‥‥‥。
「俺たちは仲間なんだ。今はそれ以上でも以下でもない」
「そんなモンなんですか?」
「ああ!」
俺は強く言った。
イーゼルも顔を赤くしたまま、うなずく。
「それにしても、リエットが錬金術師と知り合いとは、そなたも一応は冒険してるのだな」
と、コマドリが言った。
「はい。少しだけ、冒険させてもらいました。それで行き倒れてしまったので、その鍛冶屋の人に助けてもらったんです」
「モンスターに襲われていたらどうしてた?」
「食われていたでしょう」
「一人だけのパーティーなんて、パーティーとは言わんぞ?」
「そうですね‥‥‥。わたしも甘かったです」
「冒険者は時代遅れと言っていたのは一体何なのだ?」
コマドリは強く尋ねた。
「いえ、今の時代には、魔王が不在なだけに、人々の暮らしは良くなりつつあるんです。わたしはそれを手伝うのが、今の時代に本当に必要なことだとは思っているのです」
「でも、この間みたいに、はぐれモンスターなどが、時々出現するではないか。ああいうのを食い止めるには、やはり衛兵や軍ではなく、冒険者の仕事と言えるんじゃないのか?」
「仰りたいことはよく分かります」
「なら‥‥‥」
「でも、冒険者がたくさんいては、やはり冒険がパンクすると思いますよ。だから、皆さんが冒険者になるのは良いことだと思いました。でも、それ以外は冒険者にならなくても良いと思うのです。だからわたしは冒険はやめました」
「何か、矛盾しているような気が‥‥‥。そなたは最初は冒険者になろうとしてたんだろう?」
「そ、それは忘れてください!」
慌てるリエット。
「確かにわたしはひがんでいた部分もあると思いました。それでちょっと悪く言って、自分を誤魔化していたのだと思います」
「その辺は正直だな」
「はい、わたしは正直に言います」
「そうかな?それも矛盾してると思うけどな」
「ス、スミマセン‥‥‥。優柔不断で」
俺はその会話を耳にしていた。要するに、リエットは、あまのじゃくってやつなのだな。
冒険に挫折したから、それを正当化するために、あえて批判したがるタイプのヤツだ。
冒険やめたいのなら、好きにやめればいい。
どうせ魔王はいないのだからな。
そのうちに、森の中に鍛冶屋の建物を見つけた。
あそこがそうか。
錬金術師のコテージだ。
あそこで俺の新しい剣を造ってもらえるのだ。ってか、そのために来たのだから。
小説を書いていて、もっとも嬉しいのは、読んでいただいてる方たちがいるということです。読者の皆様に感謝です!!