第百二十三章・幻の技で新しい剣を!
今日は病院に行ってきました。
第百二十三章・幻の技で新しい剣を!
卑怯な手段でなく、上手な戦い方として、自分の手を考えたイーゼルは成長した。
と、思う‥‥‥。
しかし、俺は忘れていた。ツイスターとの戦闘でダ・ガールの剣を吹っ飛ばされてしまっていたことを。
今になって思い出すとは冒険者の名折れ。
ダ・ガールの剣はどこかへ行ってしまったのだ。どこへ?
あれは幻の合金オリハルコニウムで出来ている、最上級の剣だった。
失くしたことをダ・ガールの王様に話したりすれば、怒られること必至だろう。
ここはルルチェに相談してみるか?
「なぁ、ルルチェ」
俺はルルチェの部屋へ訪れる。
「あら、どうしたの?珍しいわね、リューイチが部屋に来るなんて」
「いや、あのな。実は言いにくいことなんだが、この前のツイスターとの戦闘で、ダ・ガールの剣を失くしてしまったんだよな」
「リューイチ‥‥‥」
な、なんだ?ギロチン刑とでも言うのか?
「あの剣は、もうけっこう使っていたから、摩耗してたでしょ?」
「え?」
俺はポカーンとした。
「あの剣は摩耗しても、研ぐ技術はこの世界には存在しないのよ」
「そ、そうなのか?」
「ええ。新しい武器の入手が必要かもね」
「ではどうする?」
そこへ、イーゼルに負けたリエットがやって来て、俺の後ろに立った。
「話は聞かせてもらいました!」
「えっ、お前!」
リエットは昨日とは違って、晴れ晴れとした顔で俺の前に現れた。
何かに目覚めたのか?
「というか、この子、どうしてこの城にいるんだ?」
「ああ、行く当てがないから、ベアトリアースが助手に欲しいって言ってきてね」
「マジか?」
「そうよ」
俺はリエットの方に顔を向ける。
「それは良かったな」
「はい。わたしはやっぱり、冒険者は時代遅れだと痛感しまして、ベアトリアースさんを助けて、ここで仕事をすることにしたんです」
「それは、イーゼルに負けたからか?」
「ええ。イーゼル先輩のように、あんな戦い方が出来るようにはなれませんから」
「あれは彼女のレベルが上がったからだろ?」
「でも、洗練されたスマートな戦いっぷりは、わたしには真似できません」
「そうか‥‥‥。素直に負けを認めるとこは、処世術的にも大事なことかもな」
リエットはフフッと笑った。
「あ、それでですね、今の話、新しい剣を欲しいと言われてたじゃないですか」
「え?ああ」
「わたしのツテで、近代工学の研究をしている、工芸人がいるんですよ」
「工芸人?」
「はい。今は森の奥深くにいて、細々と鍛冶屋をやっているんですけど、その方にお願いして、新しい剣を手に入れてはどうでしょうか?」
「高いんじゃないのか?」
「そうですね‥‥‥。確か、持つべき者が現れた時、その剣が自ら持ち主を選ぶと言っていました」
「それが俺である保証はあるのか?」
「もちろん、最強の人間が持つにふさわしいと、言っておられました」
「それで、オリハルコニウムで出来た剣よりも優れた剣が、手に入るのか?」
「当然ですよ。何といっても、その方は錬金術を研究している第一人者ですから!」
俺とルルチェは、それに反応した。
「錬金術?」
「はい。この世に存在する最高の金属精製法ですので」
ルルチェが話に混ざってきた。
「ちょ、ちょっと待ってよ。錬金術は実用化はまだ、テスト段階ではよく使われてるけど、実際の成功例は、たった一度しか無いはずよ。幻の研究だとも言われているけど、オリハルコニウムを使った、ダ・ガールの剣の製造が本来の錬金術の限界‥‥‥」
「いいえ、その方は長年、錬金術の研究に没頭していて、やっとダ・ガールの剣を超える、幻の超金属を造り出したと言ってました。これはホントです」
「それが本当なら、快挙どころの話じゃないわ。歴史に名を残すことになる」
「今度、その方のところへ行きましょう。新しい、特別な剣を手に入れるんです!」
リエットはガッツポーズを取った。
おいおい、お前の勝利宣言じゃないだろう。でも、貴重な情報をありがとう!
読者の皆様に感謝です!!幸あれ!!