第百十七章・モンスターの出現!!
読んでいただけて、わたしは果報者です!!
第百十七章・モンスターの出現!!
翌日の朝、いつも通りの格好をした俺は、朝食のために部屋を出た。
ダ・ガール城にも慣れたし、どこへ行けば、どこに着くのかはもう、分かっていた。
通路の途中でベアトリアースに出くわした。
「よう、おはよう!」
「おはようです、リューイチ」
「早いな」
「ええ。わたくしはもう朝食は済ませましたし、今日も仕事がありますから」
「え、そうなのか?」
「働くのは好きですよ。最近は本も読んだり、自分で書いたりもしていますし」
「へぇ、どんなの書いてるんだ?」
「魔族に関する書を作成してます」
「面白そうだな」
「いずれお前のことも書にするつもりですから、わたくしにお前の持つチートスキルとやらを話してください」
「え?俺のこと?」
「そうです。お前はなかなか人間としても冒険者としても、興味深い面が多々、ありますから」
「そう言われてもな。俺はそんなに面白い人間じゃないぞ?」
「面白いですよ、お前は」
「どこがだよ?」
「全部です!」
こいつ、言い切った。
「分かった分かった。いずれ話すよ」
「そうしてくれると、わたくしも書きがいがありますね」
「歴史に名が残りそうだよな」
「お前は歴史を何だと思ってるのですか?」
「え?」
「のちの人が調べてこその歴史なんです。そうでなければ客観性を持った情報にはならないでしょう?」
「まぁ、それはそうだが‥‥‥」
「それよりも、昨日の舞踏会はどうでした?」
「え、舞踏会?」
「お前、参加したのでしょう?」
「ああ。コマドリとルルチェとイーゼルと踊ったよ」
「踊りより出会いの場ですからね。あのあと、カップルが三組も出来たらしいですし」
「そ、そうなのか?」
「人間は面倒ですよね。好きなら好きと、ハッキリ言えばいいのに。どうしてそんなに遠回りな方法を取るのか‥‥‥」
「人間には知性と理性があるからだろ?そんなに本能に忠実だったら秩序は生まれない」
「でも、結局は子孫繁栄のための行いの一つでしょう?」
「いや、その他にも愛とかあるだろ?」
「そんな保証はないでしょう」
「保証って‥‥‥」
「今は魔族を統べることが人間の本性。そこには愛があるのですか?」
「そ、それとこれとは話が別だろう?」
「相手がモンスターなら愛や慈悲などくれずに倒してしまうのが、人間の本性なのですよ」
「いや、それは自分や大事な人を守るためにだな‥‥‥」
「その理屈はお互い様です。同じ理屈で、人間は戦争をするもんですよ」
「‥‥‥」
「ああ、少し時間を取り過ぎましたね。ではわたくしはこれで失礼します」
「え、ああ」
なんか、理屈で言いくるめられたような‥‥‥。
ベアトリアースはたぶんこれから先は、人間を研究する学者にでもなりそうだなと、俺は思った。
ベアトリアースは何かの気配を感じ、去る前に窓の外を見た。
真剣な表情をするベアトリアース。
「どうした?」
俺は声をかけた。
「何か、来ます」
「え?」
「これは、魔族ではない、別の何か‥‥‥。モンスターの気配です」
「モンスター?」
「ええ。このダ・ガール城の方へやって来ます。しかも強いモンスターです」
「ヤバいのか?」
「リューイチ、皆を集めて戦闘の準備を!」
「マジか?」
「あと十五分、かかってもニ十分で王都へ入ってきます」
「分かった。みんなを集めて戦う準備をする。お前は?」
「わたくしも行きます。この王都を守らねば!」
ベアトリアースは、さっきはああ言ったが、やはり何かを守りたいという心は持っているようだった。
さっきのは強がりだったのかな?
って、思ってる場合じゃない。俺も含めて皆、戦闘配置に就かねば!
「で、どういうモンスターなんだ?」
「竜巻ですね」
竜巻のモンスターかよ。
記録的なアクセス数をありがとうございます!!励みになります!!