第百十六章・舞踏会が終わって‥‥‥。
アイデアがいろいろ思いつくのですが、まとめるのが大変です。アクセス数をたくさんありがとうございます!!
第百十六章・舞踏会が終わって‥‥‥。
舞踏会も終盤になってきた。
俺とイーゼルは、長い時間踊った。
これくらいゆったりした音楽なら、自分のペースで踊れるし、イーゼルもついてこれるだろう。
俺はリードした。
「リューイチ、わたしと初めて出会ったことを覚えています?」
「え?」
踊りながらの、突然の質問。
「お、覚えてるよ」
「あの時は、リューイチとダンスするなんて、思いもしなかったです」
「そ、そうだな。俺もだ」
「リューイチ、コマドリとキスしたんですか?」
そこをまた突いてくるのか?
「いや、本当にただの人工呼吸だよ。あの時、コマドリは水を飲んでいて、吐き出させるのに仕方がなかったんだ」
「ホントに本当なんですね?」
「ああ。そう言っている」
「じゃあ、リューイチは人工呼吸以外でキスとかしたことあります?」
「俺、お前に額にキスしなかったか?」
「ああ、誕生日に‥‥‥」
「そうだろう」
「では、口づけはどうです?」
こいつ、何をそんなに‥‥‥。
まさか嫉妬しているのか?
「いや、俺はその、女の子とキスなんてしたことないよ。ドーテイだし」
「ドーテイ?」
「いや、忘れろ!」
ドーテイで悪かったな。俺、そんなにリア充じゃなかったし。
「キ、キスなんて俺のようなヘタレには‥‥‥」
その時、イーゼルが俺を自分の方に引きつけて、音楽が鳴り終わった瞬間、俺の口にソッと口を合わせてきた。
「これで、リューイチのファーストキス、もらっちゃいました」
イーゼルはダンスが終わると、すぐにその場を去った。
今の、キス‥‥‥?
こ、この俺が?
あんな可愛い魔女に?
俺は混乱していた。
夢ではないだろうか?
だって俺は、前世で、いじめられっ子の引きこもりの適応障害持ちのオタクなヘタレな男なのに?
疑問だけが残った。
俺は、俺にはそんなことは起こらないとばかり思っていたのに‥‥‥。
舞踏会が終わったあと、ルルチェが俺の方に来て、「さっきの見たわよ」と、言ってきた。
「何を?」
「イーゼルとのキスよ!」
やはり夢ではなかったのか。
ホントにもう、全然まったく実感が湧かなかった。
「イーゼルはどうして‥‥‥」
「あなた、鈍感すぎるわよ。彼女はね、あなたに直接自分の気持ちを打ち明けることが出来ないの。だから、あんな形で気づいてもらいたかったのよ。分かる?」
「どうして、俺なんだ?」
「きっと、何か惹かれるものがあなたにあったのよ」
「お、俺はどうすれば?」
「きっと、あなたがイーゼルに答えるにはもう一歩、踏み出すことが必要なのね。ま、気軽に自分の気持ちを温めたらいいんじゃない?それまで彼女は待ってると思うわ」
「そ、そういうものなのか?」
「そう。わたしを信じなさい!」
俺は複雑な心境に支配されてしまったようだ。
イーゼルは俺の仲間だし、友達だと思ってる。でも‥‥‥。
俺はこんがらがったが、頭をブンブンと振ると、現実を確かめた。
明日はイーゼルと顔を合わせるのは気まずいだろうな。
今日も頑張って、続きを書いていきます。読者の皆様に幸あれ!!