第百十四章・舞踏会に参加するぞ!
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第百十四章・舞踏会に参加するぞ!
俺は部屋にいて退屈だったので、広間に来た。着々と舞踏会のための準備が進んでいた。
椅子を運んで外に出すベタトリアースの姿があった。
「よう、お前も手伝っているのか?」
「あら、リューイチ。久しぶりですね。海賊退治に行ってから、遭難したとか聞いてましたけど、本当に生きていたんですね。確か手紙を持ってきた配達人が来られましたけど」
「セーラのことか?あの子はダン・ルーエの郵便配達人なんだが」
「そうなんですか?相変わらずお前は悪運の強い男なのですね」
「運も無限大だからな」
「舞踏会には参加されるのですか?」
「俺か?俺は踊れないよ」
「踊る必要はないですよ。そんなダンス大会みたいなことはしないでしょう。ただ立って、男女が手と手を取り合って、見つめ合うだけで良いのです」
‥‥‥。
「どうしたのです?」
「いや、言ってて恥ずかしくないのか?」
「なぜですの?これも求愛の儀式。食べることと子孫を残すことは当然の摂理。そのための舞踏会なのですよ」
「言われてこっちが恥ずかしいよ」
ベアトリアースはフッと笑った。
「何が可笑しいんだよ?」
「いえ、人間ってのは節度があるのだなと思いまして。お前もいっちょ前にそんな顔をするのですね」
え?俺、顔に出てる?
「お前は意識し過ぎるきらいがありますね。そんなに緊張するなら、参加しないことの方が懸命です」
「うるせーな!」
「どうせヘタレなのだから、ここで男を見せてもいいと思いますが」
「ヘタレ言うな。まったくどいつもこいつも‥‥‥」
「わたくしは見学させてもらいますからね。魔族には似合わない趣向ですから」
「お前こそ、溶け込めないのかよ?」
「分をわきまえているだけですよ。魔族に舞踏会は賑やか過ぎます」
「ふ~ん、そんなもんか」
「仕事もいっぱいありますしね。そっちに専念できるので、わたくしとしては都合がいいんですよ」
「仕事?」
「ええ。この国の会計処理や、書類の整理など、多忙です」
「事務員かよ!」
「わたくしがここにいる理由ですよ。無職というわけにもいかないでしょう」
「まぁ、そうだな」
「お前はさっさと部屋に戻って、正装してくるんですね。舞踏会に冒険者の格好で参加したら、大ひんしゅくですよ」
そう言うと、ベアトリアースは自分の仕事に戻った。
舞踏会の時間までに、俺は部屋で着替えていた。
誰が用意したのか、ロッカーの中にハンガーにかかっていた紳士服があった。
これを着るのか。
俺は着替えた。なぜかサイズはピッタリだった。
俺以外にも皆、正装してくるのか?
ルルチェは当然だとして、コマドリやイーゼルは?
余計なことを考えてしまったが、皆が舞踏会に参加するとは聞いてない。
でも、俺も一応、念のため、バッチリ正装をした。
時間が来ると、城の衛兵が部屋をノックしてきた。
「失礼します、リューイチ様。舞踏会が始まりますので、どうぞ大広間へ」
「あ、ども!」
俺は、馬子にも衣裳というのだろうか、鏡で何度も着こなしを見たので、おかしくはないはずだと思った。
衛兵に連れられて、俺は大広間へ行く。
そこにいたのは大勢の貴族、王族たちばかりだった。
スゲェ!
俺、かなり場違いなんじゃないのかと、自分を疑ってしまった。
「リューイチ!」
俺を呼ぶ声は、コマドリだった。ちゃんとした黄色のドレスを着ている。かなり高価なドレスじゃないのか?
「わ、わたし、変じゃないか?こ、こんな綺麗なドレスを着て‥‥‥」
「いや、いいと思うよ」
それ以外に言うこともあるまい。だって、俺は正直にそう思ったのだから。
「お前だけか?」
「いや、そなたの後ろにいるじゃないか」
「え?」
俺は振り向いた。
そこにいたのは、緑色のドレスを着たイーゼルの姿があった。
マジか?綺麗だ。
恥ずかしそうに、イーゼルは顔をうつむきながら、俺の前に立つ。
「ど、どうですか‥‥‥、リューイチ?」
褒めるところしかないというのはこういうことか?
「すごく綺麗だぞ」
俺の一言に、イーゼルの顔は、さらに真っ赤になった。
読者の皆様に幸あれ!!