第百九章・レドアローナの修行場。
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第百九章・レドアローナの修行場。
この世界の武術とはどういうものなのか、俺は考えていた。
魔王がいなくなったので、武道の形式も変わるだろう。
それは俺のいた前世でも同じだった。
剣術は剣道になり、柔術は柔道になった。それぞれは道を説くものに変わっていたが、競技としても残っているため、完全に自分の精神修養のための武道にはなってはいないが。
むしろ、競技で勝つことを目的としていることや、ケンカで使うために、いまだ強いの意味が強く残っていることは確かなのだ。それは断言できることだった。
話によれば、多くの武術家が、その武術の国にいるらしい。
さて、レドアローナという国は、一体どんなところなのだ?
まぁ、今回は俺たちは観光に行くのだが。
あと、観光とは別に、カンダタをそこに連れて行くことも目的としてあるのだがな。
レドアローナ小国は、山の上にあるということだったので、地図を頼りに山を登っていく。
ちょうど、ダン・ルーエの隣国だ。国境線もあいまいなので、すぐに行くことが出来た。その山にはいくつもの分かれ道があると同時に、一番高いところにある修行場は、かなり高度の場所にあった。
修行場もいろいろ別れており、かなり広いところであった。
修行者たちがたくさんいる中で、俺たちに話しかけてくる女性がいた。
「こんにちは。ここはレドアローナでも最高レベルの修行場、アクセルですよ」
俺は頭を下げた。
「あら、礼儀正しいんですね。わたしはレラ。ここのインストラクターをやっています」
レラはまだ、かなり若い人だった。
「レラさん。ここに人を連れてきたんですが‥‥‥」
俺はそう言って、カンダタを紹介した。
「どうも。初めまして」
カンダタは人見知りでもするのか、いつもより口数が少なかった。
おいおい、元邪教の教祖だろ?
「俺はカンダタ。最強の体術スキルの持ち主だ」
「そうですの?では鏡の間に案内しますね」
そう言って、レラはカンダタを連れて行く。それに続く俺たち。
鏡の間は、広い畳張りの道場だった。
この世界にも畳はあるのか。しかも、ちゃんと掃除されているらしく、ホコリ一つなかった。
「ここで稽古できますの。好きに使って大丈夫ですよ」
「相手がいない」
「それはそうです。ここは鏡の間。でも鏡なんて一つもないでしょう?」
「そういえば‥‥‥」
レラ以外、その場の全員が周りを見回す。
本当に鏡なんてまったく無い。なのになぜ鏡の間なんだ?
「ここで相手をするのは自分。だから自分自身を映すという意味で、鏡の間。理解できましたか?」
「どうやって自分を映すんだ?」
カンダタはレラに尋ねる。
「簡単ですよ。わたしがあなたの鏡になるんです」
「は?」
カンダタは意外そうに思ったらしい。
「あんたが相手をするってのか?」
「そうです」
笑顔で答えるレラ。
「それであなたは自分を知ることが出来る。だから手合わせもしてけっこうですよ」
「お、俺は最強の体術を身に着けているんだぞ?」
「そうらしいですね」
「俺をバカにしてるのか?」
「いいえ。わたしはただの鏡ですから」
「鏡?それで俺が自分自身を知ることが出来るってのか?」
「そう言ったはずです」
「なら、相手になってやる」
カンダタは荷物を置いて、体を自由にする。
俺たちはそれを横で見ることになった。
カンダタは俺と戦ったことがあるが、チートの俺には全然敵わなかった。
こいつはあのレラを相手にどう戦うつもりなのか、俺にも関心があったし、直接この目で見れる時が来たのだ。
さて、面白いものが見れそうだ。
俺たちは正座して、レラとカンダタが見合っているのをジッと見た。二人のタイマンだ。止めはしない。
どんどん戦ってくれ。
レラはお辞儀をする。礼に始まりってやつか。
さて、どう戦うんだ、カンダタ?
コーヒーの飲み過ぎに注意します。でも、ドリップコーヒーは美味しいです。特にブラックが。