第百八章・武術の国レドアローナへ!
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第百八章・武術の国レドアローナへ!
俺はダン・ルーエの城内の部屋で、並べてあるパンフレットに目をやった。その中に気になる国のことが書いてあった。
旅行に行くなら武術の国、レドアローナ小国へ!ダン・ルーエの北に三日の距離。
武術の国?気になる‥‥‥。
そういえばカンダタの奴は女神ルシフィーネから最強の体術を能力としてもらっていたな。まぁ、俺のチートスキルの前では無意味だったが。
* * *
翌日の朝、俺は朝食を済ませた後、一人で貧民街へと向かった。
こんな義理は本当はないのだが、それでも俺は、カンダタのところへ足を運んだ。
「よう、カンダタ!」
まだ、汚い毛布にくるまって、寝ていたカンダタを起こす俺。
「リューイチだ。起きろ!」
強引に起こす俺。
「なんだ、貴様‥‥‥。こんな朝早くに‥‥‥」
「もう九時過ぎだよ。話があるんだ。聞けよ」
カンダタはもそもそと起きて、目をこする。
「話って何だ?」
「いや、お前さ、体術が得意なんだろ?」
「ああ。もっとケンカに強くなるためにな」
「お前、ケンカに武術を使っちゃダメだろう?」
「うるせーな。それで俺に何の用だ?」
カンダタは少しいら立っているようだった。俺のような、元いじめられっ子が、元イジメっ子の自分に偉そうな口を利かれるのがムカついたのかもしれない。
俺自身、そういうヒエラルキーには全く興味は無かったので、それはどうでもいいことだった。
「お前の自慢の体術ってのはどういうのなんだ?」
「それは、空手に剣道、柔道にムエタイ、カリ、拳法に総合格闘技だ」
「いろいろ混ざってるんだな」
ちょっと呆れた。それらが使えるのなら、もっといい勝負になっても良かったのにな。それほどまでに、俺のチートは強かったってワケだ。
「それを聞いて、一体俺をどうする気だ?」
「ん?ああ、俺たちは今日、ここを発つ。それについてこないか?」
「なんだと?」
「いや、仲間になれってことじゃない。ある国に連れて行ってやりたいんだ」
「ある国?どこだ?」
「レドアローナ」
「知らん国だ」
「俺も知らなかった。だけどな、そこは武術の国だそうだ」
「武術の国?」
ちょっと反応を見せるカンダタ。
「お前はこのスラムにいるべきじゃない。外の世界へ行くんだ」
「どういうことだ?俺に何をさせる気だ?」
「もちろん、自分の居場所ってやつを見つけるためだよ」
「それが俺のためになるだと?お前に俺の何が分かるって言うんだ?」
また、‶お前に何が分かる″って言葉、聞いたな。
「いや、聞くだけ聞いただけさ。来ないのなら、来なくてもいい。でも、お前は分かってるはずだぞ?」
「何をだ!」
「この貧民街が、お前の居場所ではないってことがな」
「貴様‥‥‥」
「目を覚ませ。そして立ち上がれ!」
俺はカッコいいセリフで言ったが、ここはそういう場面だろう。
「自分を苦しめるな!」
俺は強く言った。だが、それ以上の反応はない。
仕方なく、俺はその場をあとにして、貧民街を出た。
* * *
出発の時間になった。俺たちは北へ向かうことになった。皆には観光だと言って、武術の国へ行きたいと告げて、皆に了解を求めたのだ。
ルルチェはダ・ガールに手紙を書いて、その旨を伝えるようにした。
届けてくれるのはもちろん、セーラだ。
「セーラ、頼んだぞ!」
俺はいい顔してるセーラに声をかけた。
「お兄さんこそ、頑張れよな!」
「俺はマイペースでやるよ」
セーラはダッシュでダ・ガールまで、行くことにしたようだ。良い仕事に就けて良かったな!
俺たち一行は、ダン・ルーエの王都を出た。その先にいたのは、旅支度をしたタケシ、いや、カンダタだった。
「おい、リューイチ、あいつは‥‥‥」
と、コマドリが言う。
「ああ、カンダタだ。これからあいつと、レドアローナまで行く」
「またですか。本当にリューイチはとことん甘い人ですね」
イーゼルまで言ってきた。
「そう言うな。あいつにも、本当の居場所へ連れて行かないとな」
「そこがリューイチらしいですけどね‥‥‥」
イーゼルは、少し笑いながら答えた。
読者の皆様に幸あれ!!