玖 島と鳥と休息と
「わあ、風が気持ち良いねー」
「本当ね」
私は浜辺を歩きながら伸びをした。流石に草臥れた。
「でもやっとある程度データは集められたしね。後はその時その時で対処するしかないかな」
「そうなんだ。チル、ずっとモニターと睨めっこしてたもんね」
「あんたは手伝ってくれないもんね」
「えへへ」
「まったく。ちょっとは手伝いなさいよ」
ちょろっと舌を出し誤魔化された。まあ、フェアリーだから仕方がないか。性格は思慮深かったり喧嘩っ早かったり、ちょっと短気だったり悪戯好きだったり色々有るけど、この子は好奇心旺盛な設定になってるみたい。だからかな?一つの事に集中出来ない…というより、一所に留まっていられないと云うべきか。能力は有ると思うんだけど、基本的にはお気楽極楽、些細な事は気にしない、楽しい事が大好きなんだよね。
「でもね、調べてみて分かったんだけど、時代が古すぎて詳細なデータが真面に無いよのねえ。虫食いだらけ、穴だらけ」
結構木も生えていて、アリアンは私の傍で嬉しそうにクルクル飛んでいる。広めの場所なら十分に森といっても良いかもしれない。ただ、生き物の気配がほとんど無いんだよね、ここ。
「そうなんだ。じゃあ、美味しいものって無いのかな?」
「あはは、それは分からないかな。でも、元の世界でも結構地球由来の食べ物が多かったから、もしかしたら合成食よりも美味しいかもしれないわよ」
「おー、なるほどー」
両手で頬を挟みながら目を丸くしている。その表情に、また笑ってしまった。
暫く話しながら歩いていると、ガサガサっと森から何かが飛び出してきた。
一瞬ビクッとしたが、よく見れば小型の鳥だ。こっちに気が付いて向こうも一瞬止まったけど、何事も無かったかのように走り去っていった。思いっきり気を抜いてたから油断してた。こちらを襲う気が無かったようだから殺気が無かったんだろうなあ。有れば流石に気が付くし…。
「わーい。鳥さんだー」
アリアンが追いかけようとしたので慌てて捕まえる事になった。しかしあの鳥、全く警戒してなかったな。まあ、人の手が入った形跡が無い島だから警戒対象にならなかったのかもしれない。生物の気配が殆どしないから、天敵らしい天敵も居ないのかもしれないし。走っていったって事は基本飛べないか飛ばない鳥なんだろう。でもどうやってこの島に来たんだろ?最初は飛んできて、天敵がいないから飛ばなくなったのかな?うーん、謎だ。
それから暫くアリアンと浜辺で遊んでいたけどそろそろ戻るかな。いくら小さい島とはいっても、あまり遅くなると心配するだろうし。夕日が綺麗だな。




