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第六話「繰り返しの終焉」

「こちら管制室。ドローンの情報により、地下高速の地上連結通路、出口1Aにてスナイパーの射殺死体を確認。

 顎の下から頭頂部まで撃ち抜かれて即死状態。

 弾丸の識別情報から、オウルβのSCRバレットによるものと確認した。

 スナイパーが所持していたのはおそらく、SCRライフルと同種の物と思われる」

「何だって!? SCRライフルは最高機密の兵器。

 侵略軍が持っているはずがない、何かの間違いでは?」


「こちらオウルβ、戦果は確認した。発電所の状況を教えてくれ」

「たった今、地下から発電所内へ侵攻していた部隊を制圧完了したところだ。

 ドローンが基地内を哨戒中、そしてウルフチームが……今、到着した。

 後は発電所を守り切るだけだ」


「了解。地上の敵のターゲットの指示をくれ」

「今戦術情報を転送する。見えたか? 君の次のターゲットはその重装歩兵だ」


「ターゲットを確認。SCR狙撃に入る」


 ***


 十数分の戦いの末、発電所内はウルフチームが陣取って敵の侵攻を防ぎ、外部の敵はSCR狙撃チームによって一方的に排除された。

 敵の潜水輸送艦は兵員を送り込んで即撤退済みであり、急行した自衛軍の哨戒機や潜水艇では捉える事は出来なかった。

 核融合発電所の爆破に送り込まれた連中は捨て駒、初めから回収などする気が無かったのだろう。

 とにかく発電所は守られ、大災害は……俺が何度か経験をした大災害は起こらなかった。

 歴史上も、記録上も、一度もだ。

 そして俺の時間が再び巻き戻ることも無かった。

 あれが起こるのは俺が死ぬ事がトリガーだったのだろうか?

 試してみる気にはなれない。

 俺のほかにもう一人同じものを見ていたのは、やはりSCR狙撃を行うスナイパーだった。

 SCRバレットに複製された無数の俺の意思と、核融合発電所の異常事態が何かの未知の作用を起こしたのか。

 想像もつかない。


「よう、デフィ」

「新井隊長、お疲れ様です。あれからあの発電所を襲った部隊について情報はありましたか?」


「我々には知らされていないが、お前も他の隊員も推測は付いているだろう」

「それは……まぁ……」


「それよりお前の洞察力は大したもんだな。お前の機転が無ければ内部から破壊をされていた可能性が高かった。

 さすがは、ウェンディゴに襲われた特殊部隊員16人の中の、唯一の生存者だけの事はある。

 あれか? 何か特殊なカンでも働くのか?

 それは一体どんな感じなんだ?」

「そうですね……まるで一度体験をしてきたかのように、自分の死の可能性の未来が見える事がある。

 そういった感じですかね。

 今回のミッションはそれが前より遥かに強くて、正直困惑しました」


「そうか……もし超能力(ESP)の素質がある者を集めた部隊があったとしたら、そういうところに入ってみるか?」

「あるんですか? そんなもの」


「無い無い。冗談だよ。何より君のような優秀な隊員を手放してなるものか。

 それよりトレーニングの時間だ。

 さぁ、走れ走れ」

「うぉっ、やべっ」


 とにかく事件は解決した。

 時間の巻き戻りの体験はあれ以降無い。

 この先も無いほうが望ましい。

 可能なら銃の引き金を引くことも無いほうが望ましいが、このご時世、それは叶わぬ夢だろう。

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