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第三話「覚醒、そして再び戦場へ」

「……おい、おいっ!」

「……」


 兵員輸送ホバーヘリの中でデフィはうたた寝状態から目覚めた。


「どうした? 酷く疲れた顔をしているな」

「……俺は……眠っていたのか……」


「任務の前にそんな状況で大丈夫か?」

「任務……。核融合発電所の……」


「そうだ、今更何を言ってるんだ?」


 デフィはバイザーを装着し、時刻とミッション情報を確認する。

 直後にホバーヘリのパイロットルームの後ろに居た新井隊長が隔壁のドアを開けて体を乗り出して叫ぶ。


「あと5分で作戦空域に到着する。全員バイザーを装着しろ!」


 デフィはつぶやいた。


「目的地の北北西、3キロのサークルエリアで降下……」

「はぁ? 何を言っているんだ?」

「管制室! ファントム・ハンズの21名全員準備完了です」


 ぼんやりとしているデフィを見て苛立ちながら仲間の隊員は装備のチェックを始めた。

 管制室から隊員全員に指示が流される。


「マップ情報を確認してください。

 上陸した所属不明の兵士達はウォーキング・セントリー数十体と共に市街地のビルを縫うように進軍中です。

 また、上陸艇には対空装備を確認。

 偵察ドローンが12体、撃墜されています。

 接近し過ぎれば対空攻撃の可能性がある為、目的地の北北西、3キロのサークルエリアで降下を行ってください」

「…………何だよ。気味わりぃな」

「…………」


 怪訝な顔でデフィを見る隊員を無視し、デフィは今起こっている状況、その信じがたい事実を受け止めきれず、必死で思考を巡らせていた。


 ***


 デフィの記憶している状況をトレースするように状況は進展し、デフィは自分の狙撃地点に到着する。


「オウルβ。目標地点に到着した」

「オウルβへ戦況情報です。敵は……、おい、オウルβ、何をしようとしている?」


 デフィは管制室の指令を待たず、SCRライフルを地面に立てて構え、SCRバレットのブレイン情報のリフレッシュを始めていた。


「オウルβ! この緊急時に何をやっている!?

 一秒が惜しい状況、お前の独断で味方が死ぬ事になるんだぞっ!

 応答しろっ!

 オウルβ!」


 デフィはSCR狙撃の第一射を放った。

 ソニックブームの轟音が響く。


「こちらオウルβ! 戦果情報を求む」

「ふざけるなっ! 気でも狂ったかっ!」

「おい……見ろ、第一障壁へ攻撃しようとしていた敵が死んだ……、あれはSCR狙撃だ……」


「目標は始末したな?」

「……お前がやったのか?」


 デフィは再びバレットのブレイン情報のリフレッシュを開始した。


「オウルβ、あの地点の土地勘でもあるのか?

 たまたま今回は目標に当たったが、独断行動はするなっ!

 管制室の情報分析に従う重要性、お前ならよく分かっているだろう!?

 万が一……、おいちょっと待て、待て待て待て!」


 デフィは再度SCR狙撃を行った。

 轟音がビルの間に響き渡る。


「二度目の命令違反は看過できない。

 この作戦終了時、お前は……」

「偵察ドローンで確認しろ。

 俺は核融合発電所の向こう側、レインボーヒルビルの3階駐車場内、大型トラックの貨物室内のスナイパーを狙撃した」


「貴様っ! これが最後の警告だっ!

 これ以上勝手な行動をとるなら、お前の身柄を手段を問わず拘束する指令を出さねばならない。

 お前は即刻クビだ」

「…………」

「オウルβの様子がおかしい。民間人や味方に被害を与えた可能性もある、レイボーヒルの3階、大型トラックをドローンで探せ」


 デフィは目を閉じてその場に待機する。


(クビ? 結構だ。むしろそうなることを願うよ。

 このまま発電所が爆発して死ぬくらいならな)


「大型トラックを見つけました。貨物室の扉が空いてます。

 ……所属不明の兵士の死体を発見!

 傍らにあるのは……何だこれは……狙撃銃?

 仕留めたのはオウルβのSCRバレットのようです。

 識別信号を確認しました」

「狙撃銃の分析結果……信じがたいですが……SCRライフルと同種の武器の可能性が高いです」

「馬鹿な……SCR狙撃の技術は国家機密、中国が持っているはずがない……」


 通信を聞いていたデフィは、自分が体験した出来事、それが再び起きているという事を信じざるを得なくなっていた。


「こちらオウルβ、時間が無い!

 次の目標の指示を頼む」

「オウルβ、次のターゲットを指定します。戦術情報を更新、確認せよ」


「……確認した。バレットのリフレッシュに入る」

「どういう事だ? オウルβ、敵が居ることを知っていたのか?」

「時間が惜しい、邪魔をするな。オウルβ、早急に狙撃せよ」


 デフィはバレットを次のターゲットの情報でリフレッシュし、再び狙撃する。


「オウルβ、ターゲットへの命中を確認した。

 他の隊員のSCR狙撃もあり、我々は一方的に敵を排除、圧倒的な優位を保っている。

 敵はまだ第一障壁を突破していない。

 ウルフチームが発電所内に到着までもう少しだ。

 気を抜かずに狙撃を続けろ。

 ……よし、オウルβ、次のターゲット情報を更新した。

 確認しろ」

「確認した。リフレッシュ完了後、即座に狙撃する」


 デフィはバレットを次のターゲットの情報でリフレッシュし、再び狙撃する。


 ***


 薄暗いトンネルを抜けて、ビルとビルの間を高く飛び上がっていく。

 空中で軌道を変え、次のターゲット、第一障壁の扉に向けて移動を始めているパワードスーツ兵を目指す。

 そして空中を進み、空中で静止した無数のドローンをチェックしながら思いを巡らせる。


(前回は敵のスナイパーに翻弄されて総崩れとなったが、今回は即座に排除した。

 ウルフチームが発電所内に先に到達出来る可能性は高い。

 今度は勝てるだろうか?

 ……しかし、なぜ、何が自分に起こったのだろうか?

 別の次元で、別の俺が見たんだろうか?

 この弾丸のように……。

 いや、時間をさかのぼったのだろうか?

 ……時間……。

 そういえばおかしくないか?

 核融合発電所内の炉心を異常動作させるには準備で最速でも5分はかかる。

 だが前回、いくら状況が混乱していたとは言っても、敵の突入から爆発まで5分掛かっていない。

 論理的に考えれば、敵兵の第一障壁突入前から準備が進められていた事になる。

 ……陽動……)


 核融合発電所を飛び越え、ターゲットのパワードスーツを上空から捉えた。

 だが軌道を変更。

 銃撃戦で対物機関砲を受け、割れ目の出来た2階の金属製の窓の隙間をくぐり、発電所内の廊下を器用に突き進む。

 情報が正しければこの通路を左に曲がり、緩やかなスロープを降りた先の大部屋がコントロールルーム。

 ぐんぐんと廊下を突き進む。

 そこにはいくつもの銃殺された職員の死体があった。

 そしてコントロールルームの一部の床が陥没するように大穴が空いており、そこから侵入したであろう敵兵が7人ほど、4人は周囲を警戒。

 3人はパネルを弄っている。

 大スクリーンにはすでに警告情報で埋め尽くされていた。


(地下を通って侵入したのか!

 駄目だ。

 間に合わない。

 パネルを弄っている……こいつらを殺すか?

 いや、時間的に手遅れのはずだ。

 伝えなければ!

 何とかして伝えなければ!

 ……あるのか?

 次のチャンス。

 もうそれに賭けるしかない。

 ここを脱出して戻らなければ!)


 ***


 デフィはSCR狙撃を行い、ソニックブームの轟音がビルの間に反響して響き渡った。

 だが直後、デフィの右斜め前のマンホールが轟音を立てて跳ね上がる。

 その時に粉砕し、飛び散った道路の破片から目を守るためデフィはとっさに片手の甲を目に当てて身構える。


「オウルβ、一体何をしている!?

 外したぞ!」


 デフィはグワングワンと回るマンホールに近づき、その破損具合を確認する。

 弾丸はマンホールの中央を貫通。

 その下に突き進んだ形跡がある。


(どういう事だ? これはSCRバレットの貫通痕。

 ……俺の弾丸か?)


「オウルβ、急いで戻れ次のターゲットを指定する」

「敵兵のほとんどは第一障壁前で壊滅、ウルフチームが先に到着した!

 やったぞ!」


 デフィは嫌な予感を感じ、ビルの陰から歩み出て発電所のほうを見た。

 強い閃光が核融合発電所から放たれ、空を覆う雲がそれを反射して黄金色に眩く輝く。

 そしてすさまじい勢いで、土石流を数百倍にしたような衝撃波と土煙が、鉄筋や電気自動車類を空中に巻き上げながらグングン迫って来る。


(何故だっ! 何故なんだっ!)


 高さ数百メートルに及ぶ土煙と衝撃の壁があっという間にデフィの眼前に迫り、デフィを飲み込んだ。

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