きっかけ
いつの間にか僕は部室にいた...あれ、渡り廊下にいたはずじゃ?前を向いてみると佐久間先輩が顔を覗き込んできた、なんか恥ずかしい。
「鮫島くん大丈夫?」
黙って頷きながら頭の中を整理す...
「大丈夫じゃなーーーいっ!!」
急いで立ち上がり冷蔵庫を開く...ない、ない、ない!どこにも僕の買ったプリンがなかった。
「さ、鮫島くん! 落ち着い...」
「落ち着けるわけがないですよっ!」
あ、つい声を荒らげてしまった、深呼吸して僕の席に座って少し考える。
「佐久間先輩、食べました?」
彼女は心外だなぁーと言わんばかりに頬を膨らませ
「たべてませんっ! それに、自分のくらい自分で買ってー...」
「でも、部室の鍵は先輩しか...」
「うぅ、そんなのしらないよっ! 部室に来たのだって朝と昼休みに入ってからだし」
「昼休みにダッシュで部室に来てパクッって食べたんじゃないんですかー?」
「んんー、じゃーほら! 確かめてみてよっ! と制服をめくる」
思わず顔を逸らす、顔が赤くなるのを感じた。
「先輩なにやってるんですかっ!早くしまってくださいよ、第一にお腹触ってプリン食べたかの確認なんてできるわけないですよっ!」
「確かにそうかもね、ちょ、鮫島くんあっち向いてって!」
今更ながら自分のしてたことを思ったのか彼女は耳まで真っ赤になっていた。
はいはい、と頷きながら体を窓の方へ向ける。
「それで、プリンはどこにあるんです? ドッキリやサプライズの類ならもう成功してますよ! そろそろネタばらししてもいいんじゃないですか?」
と彼女を軽く睨む。
「ドッキリだったらこんなに焦ってないよ!ほんとになくなったんだってっ!」
まぁ、確かに渡り廊下でのあの顔は作ってできるようなものではない...と思う。ほんとに作っていたのなら先輩には女優の道を勧めよう。
「はぁ、めんどくさいなぁ、佐久間先輩! そこまで食べてないって言うんだったら...真犯人、見つけてきてくださいよ」
「わ、わかったっ! 探してくるからちょっと待っててっ!」
と足早に彼女は部室を出ていった...先輩のあの自信はどこからくるだろ?
僕も犯人を探そうとしてみたが、頭の中がプリンのことでいっぱいでうまく考えることができない、あと、なにより面倒だ。
しばらくするとドアの開く音が聞こえてきた、珍しい、そこには斉藤先生が立っていた。
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