彼女の
今日もいつもどうり、平和な1日のはずだった。いつもどうりの時間帯、いつもどうりの通学路、
特に変わった事はなかった...と思う。
「佐久間さんおはよー!」
振り返るとクラスメイトの神崎さんがいた、部活がない時は大抵彼女と帰っているが通学で会うのはとても珍しい。神崎さんとは1年生からの友だちだけど、通学中に会ったのは数回しかない。
「神崎さんおはよー!珍しいねこんな時間に!」
「うん、私今日、日直なんだ!」
と、急いで先に行ってしまった。
下駄箱に着くと見慣れた顔がぽつんと立っている、これまた珍しい、鮫島くんではないか!
鮫島くん...私の唯一の部活の後輩だ、中学生の時は部活に入ってなかったので私にとって初めての後輩にあたる、彼はよく、面倒だ!と言っているがプリンになると人が変わった様にやる気をだす!そこが可愛い。なんて鮫島くんに言ったら怒るだろうな。
ここは先輩として挨拶を!
「おはよー!鮫島くん」
すると私が登校してくるのを待ってたかのように、右手に持っている紙袋私に見せながら
「おはようございます、佐久間先輩。部室の鍵をお借りしたいのですが」
この目の輝き、口元の緩み...さてはプリンだな!それもいつもとは違う少しレア物やつだと私は直感した!
これは面白い少し鮫島くんをからかってみよう!
「あー、冷蔵庫ね!私も行くよ暇だしね」
そう、我らが力学部には冷蔵庫が設置されているのだ!力学といっても鮫島くんと2人でだらだらしてるだけの部活だ、そこがとっても気に入っているところである。
私が力学部に入った理由はやはり冷蔵庫によるものが大きいと認めざるを得ない、やはりmy(鮫島くんと2人)冷蔵庫は魅力的である。
「わかりました、でも、これはあげませんよ?」
にやり...
「わかってるって、一口だけだから!」
「佐久間先輩、鍵だけ!貸してください!」
目に見えて鮫島くんが、焦っているのがわかる、今日のプリンはほんとに特別なのね!
少しの罪悪感を軽く笑って取り払い
「やだなぁー鮫島くん、冗談に決まってるじゃん!」
彼は私を少し睨み、素早く翻す、そして急かすように
「それじゃ、行きましょうか」
我らが力学部の部室は特別棟の3回に位置している、お世辞にも立地が良いとは言えないのである、運動を得意としない私にとって特別棟へ行くまでの渡り廊下と3階分の階段は正直かなり辛い。
しかし今日は少し違っていた、いつもは冷静な鮫島くんが浮かれている。
どうからかってあげようかと考えるだけで口元が緩んでしまう、気が付くと既に部室の前に着いていた。
部長である私が管理している鍵でドアを開ける...部長である私が!
...カチャ
「不便だよねー、鍵が1つしかないのは」
と言いながら冷蔵庫の方を凝視する
...ぱたり
冷蔵庫にプリンを入れ終えた彼は視線に気付いたのか、冷蔵庫の前に立つと
「佐久間先輩、今日だけは冷蔵庫に近寄らないでください。」
手に取るように鮫島くんが必死なのがわかる!あはは、今日の鮫島くんはほんとに面白い。
「じゃーね! 鮫島くん、またお昼休みに」
と明るい声で!
「はい、また」
と少し疲れたような声で。
・・・・・・
...あっれー? もうお昼休み?? 可愛い後輩くんをどうからかってあげよーかと思っていたら...やばいノートとって無いや! いや、いまはそんな場合ではない、と急いで部室へ向かった。
部室の前に着くと何か違和感を感じた、鍵を開け中に入るとこれまた違和感を感じる。まさかと思いながら冷蔵庫を開けてみた...
なんで!?...冷蔵庫には何も入っていなかった
ふと、今朝の鮫島くんの笑顔を思い出す、色々な感情が湧き上がって来たが、気が付くと私は走り出していた。
渡り廊下で彼を発見した、呼吸も整わないまま
「プリンが...無くなってるの!」
私がやっとの思いで出した言葉を聞いた彼は固まっていた、目の焦点があっていない、とりあえず彼を落ち着かせようと部室へ向かった...
・・・・・・
プリン美味しいですよねŧ‹”ŧ‹”( ‘ч’ )ŧ‹”ŧ‹”