第3話
第一陣として入った第3、第8、第10他、何チームかの各チームは、璃空とダフネの時とは違って、いきなりアンドロイドの歓迎を受けることになる。
「おわっ、いきなりかよ! まったく容赦ないねー」
「ああ、っとー、にゃろう!」
「ほいほい、ロボットちゃん。もっと手加減してよ~」
スポットで対戦していたときとは、数の多さが違う。
けれどアンドロイドの能力は今までと大して変わりがないようだ。そのためメンバーは今まで通り、フェイントをかけたり、散らばったりかたまったり、アンドロイドの虚を突くような攻撃で次々にそれらを倒していく。
作戦では第3・第8チームが技術班を護衛して玉座の間へ向かうことになっている。
そのほかのチームはアンドロイドの破壊と壁のこちら側の探索を請け負っている。
玉座の間へ向かうチームが順調に進路を進むのを見届けると、他のチームは違う通路に入っていく。
アンドロイドを蹴散らしながら、進んで行く各チームのメンバーたち。
「?」
その時、玉座の間へ行くのとは別の通路を進んでいた第10チームが、遠くに璃空の姿を見つける。
「新行内!」
思わず近寄る彼らに、しかし無表情にこちらを見る璃空は、容赦なく銃をむけた。
ドンッ。
ドンッ、ドンッ。
「うそ…だろ?」
あとでぶん殴ってやる…と、いいながら、第10チームのメンバーが次々崩れ落ちた。
それからしばらくして。
第1チームが璃空を探しながら進んできたとき、あちこちに倒れているバリヤ隊員を発見した。
「ちょっとぉ!大丈夫?」
「どうした!ロボットか?」
駆け寄って彼らを助け起こす第1チームのメンバー。
皆、息はあるようだ。
「り・璃空の野郎。俺たちを撃って来やがった…」
その言葉を聞いて、さっと青ざめる柚月。
「指揮官は、催眠術をかけられていると聞いていたでしょう。なぜ警戒しなかったのです?」
言いながら応急処置をする魯庵が、驚いたようにつぶやく。
「…どうやら全員急所を外しているようです。というか、出来るだけ身体に負担にならない場所を狙っている。ここまでくるとおみごと、というか芸術的としか言いようがない」
「ああ、俺たちもまさかって言う気があって油断してたんだ。イテテテ。けど新行内にしちゃお粗末すぎるぜ」
撃たれたにもかかわらず、それが不思議だというように言う第10チームの指揮官。
「そうだよな、あの指揮官が急所をはずすなんて。何故?」
ブライアンも腑に落ちないと言う様子で魯庵に問いかける。
「魔術に操られているとは言え、指揮官は最後の最後のところでそれに抵抗しているのでしょう。だからわざと急所をはずしたのだとしか、考えられません」
「すげえー」
けれど皆が話をしている間も、柚月はひとり震えている。璃空が急所を外したとは言え、仲間を撃ったことに動揺しているようだ。そんな柚月に気が付いたタミーが、そっと彼女の肩を抱いて、ポンポンとリズムをとりながら言う。
「指揮官は操られているだけ。彼は彼なりに必死で闘っているわ。その証拠に誰一人殺していないでしょう?」
「…はい」
「だから一刻も早く指揮官を探し出して、魔法を解いてあげなくちゃ。魯庵、ここはブライアンと私に任せて、貴方と怜は柚月さんと指揮官を探しに行って」
「そうですね。申し訳ありませんが、私たちは先を急ぎます。先ほど救護班を呼びましたから、もうすぐ到着するはずです」
「ああ、助かった。ありがとう」
助けが来るまでをブライアンとタミーに任せて、魯庵は怜とともに柚月を促す。
柚月は、倒れている隊員たちに深々と頭を下げて、その場を後にした。
璃空が消えた方向を教えてもらった3人は、警戒しながら少しずつ奥へ進んでいく。
と、先を歩いていた魯庵が止まるように指示を出す。少し向こうにアンドロイドが動くのが見えた。怜が心得たというように飛び出して行き、アンドロイドを倒す。しかし、かなりの数が見えないところにいたようだ。
「ちょっと苦戦しているようなので行ってきます。が、貴女は決して動かないで」
「はい」
そのままそこに隠れていた柚月だが、ふと何かが動くのを感じてそちらの方を見やる。
「璃空?」
はっきり見えた訳ではないが、アンドロイドとは違う何かが奥へ消えていくのがわかった。柚月は引き寄せられるようにその後を追って行った。
アンドロイドたちを倒した魯庵と怜が、元の場所へ引き返してみると、柚月の姿が消えていた。
「え? 今澤ちゃん?」
「動くなと言ったのですが…どうして?」
しばらく考え込んでいた魯庵が、はっとした顔になって言う。
「!もしかして指揮官を見つけたのかもしれない」
「え?」
「早く見つけ出さないと。怜くん、きみはこっちの道を、私はこちら」
「オーケイー、見つけたら、即、連絡するねー」
言うが早いが、怜は飛び出して行く。
柚月はそろそろと進んで行く。今頃になって自分が大変な事をしでかしたと気が付くが、もう魯庵や怜のいる場所もわからなくなっていた。
いちおう銃は持たせて貰ったが、それも練習場で数えるほどしか撃ったことがない。
「璃空」
つぶやきながら歩いていると、ザサッと音がした。
振り向くとそこにアンドロイドがいる。こちらへ向かってくる!撃たないと!
けれど、手が震えて照準が定まらない。
もう、だめ! 魯庵、ごめんなさい、と柚月は目を閉じた。




