第3話
ダフネの呪文が途切れることなく続く玉座の間。
そこへバラバラとと走る音がして、誰かが広間に入ってくる。
「「指揮官!」」
魯庵と怜の声が広間に響く。
銃を構える二人。しかしダフネは璃空の顔をつかんだまま、自分の前に立たせた。これでは撃つこともできない。その間もダフネは何かを唱える。
「これは?呪文?」
魯庵がハッとしたように彼らを見やる。その時、そこにいないルエラの声が響いた。
「広実くん!新行内くんを重点的に写しておいて!」
「オーーケイー」
広間には第1チームのふたりと、忠士のチームも入ってきている。
彼らはルエラと魯庵の迅速な行動のおかげで、こんなにも早くここに到着することが出来たのだ。
その忠士は双方向の音声画像転送装置をつけ、中の様子を次元の向こうへ送っている。今回さすがにルエラは実戦ということで参加させてもらえなかったため、送られる画像を見ながら指示を出していた。
しばらくにらみ合いが続いたあと、おもむろに璃空の顔から手を離したダフネは、
「これはこれは、ようこそ皆さん。しかし少し遅かったようですな」
そう言って、気が抜けたようになった璃空を自分の楯にしながら装置へ進みより、起動の用意をし始めた。
「し、指揮官!」
怜が飛び出そうとするのを、魯庵が引き留める。
「だめだよ、怜。指揮官は何か術をかけられたようだ。滅多なことをして、指揮官の身に何かあってはいけない」
「さすがに良くわかっていますね。貴方がたが変な気をおこせば、新行内さんが自分で自分の首を絞めるかもしれない。それに申し訳ありませんが、少々邪魔なので、みなさんはここから退散していただけませんか?」
「なんだと!」
怜がまた叫ぶ。魯庵は悔しそうにしながらも、怜をなだめて言った。
「仕方がない。ここはいったん引き下がろう。指揮官の命には替えられないよ」
そう言って怜の肩に手を置いて、広間を出て行くように促す。
そのあと忠士になにやら耳打ちする魯庵。忠士は微妙にうなずいて璃空の方に画像装置を向けながら、こちらもチームを率いて広間をあとにした。
「聞き分けの良い部下ですね、指揮官?」
ダフネはそう言いながら、楽しそうに制御装置の起動を続けていく。
すると、こちらの騒ぎを聞きつけたのか、あちこちからアンドロイドが現れ二人に襲いかかろうとする。璃空は表情も動かさず、それらを打ち抜いて倒していく。
「はいはい、最高の護衛がついていますから、ゆっくり起動できますね」
そのあとは、本当に楽しそうなダフネの声と、璃空の撃つ銃の音が広間に響いていた。




