第2話
チームにホッとした空気が流れたのもつかの間。ロボットはまだ次々とやってくる。
と、そのとき、聞いたこともないような言葉がスポットに流れ出す。
「これって…」
タミーが言った言葉にブライアンも「ああ、この間の呪文だ」と言う。
「呪文?これが?」
璃空はハッと身構えてまわりを見渡す。しかし、誰もおかしな行動をとる者はいない。
「なんなんだ?何がしたいんだ?」
しばらくしてそれがやむ。
「今日はなんだかいつもと様子が違うな」
璃空がいぶかしそうに次元を見つめて言った時だった。
ギューンギューンと音がして、大量のロボットがなだれ込んでくる。
「うへっ、むこうに大型バスでも着いたんですかね?」
「それにしちゃー添乗員の姿が見えないぜ」
怜と忠士が減らず口をたたきながら、ロボットを倒していく。ブライアンも今は普通の銃を持って、加勢に入っている。
すると今度は次元の壁から触手のようなものが何本も現れた。
「なにあれ!気持ちワリィ」
「本当に今日はなんなんだ?」
その触手は最初、璃空へと向かってきた。
しかし身体能力では悪魔の魯庵に次いで、バリヤ2の彼だ。そんなものはすいすいとかわしていく。触手はあきらめたように動きを止めて床に落ちる。
そのため、また皆がロボットに集中し始めた矢先だった。
「きゃあっ」
後方にいたタミーが悲鳴を上げる。
見ると、触手はタミーを縛り上げて次元の方へ運ぼうとしている。触手が隙を狙って、動きの少ないタミーに照準をあわせたのだろう。
「タミー!」
だれよりも早く動き、タミーを思い切り抱き留めたのは、忠士だった。
「くそう!手じゃ切れやしねぇ」
触手をつかみ、思い切り引き延ばした忠士が叫ぶ。
そこへ駆けつけた璃空が、次元の壁とタミーたちの間に立ち、忠士に力を貸すが、やはり引きちぎるのは無理なようだ。
璃空はもう一度それを引き延ばすと、ブライアンに向かって言った。
「ブライアン!ここを撃て」
「OK」
ドン!
ブライアンの弾丸は、少しの狂いもなく璃空の指し示した場所を射貫く。
璃空は触手と一緒に次元の壁の方へ引きずられ、タミーと忠士は触手が切れた弾みで反対側へ少し吹っ飛ばされる。
忠士がタミーを抱きかかえながら、受け身をとって床に転げ落ちた。
その直後。
切れた触手から、また触手が生えて璃空に襲いかかる。忠士たちに気を奪われていた璃空はまんまとそれに捕まった。
「うわっ」
触手はあっという間に彼の身体に巻き付いていく。
「指揮官!」
「新行内!」
ぐるぐると巻き付く触手。
しかし銃でそれを撃てば璃空ごと撃ってしまう。忠士たちは、なすすべもなく、まるで繭のようになった璃空が、次元の向こうに消えていくのを見送るしかなかったのだった。