神
神の力を人間が手に入れたとしても、それは神ではなく神の力を持っただけの人間であろう。
ある日俺は神に出会った。
なんて事はない、いつも通りの日常だった。
いつも通り家に帰り、眠りについた時、見たことも説明も出来ないような空間に神を名乗るそれは居た。
詳しい内容は霧に巻かれたように曖昧だが、神の「お前に力を与えよう」という言葉だけが、目覚めた時に頭に残っていた。
目が覚めた時、俺は変な夢でも見たんだろうと思っていた。
しかし外に出て人の姿を見た時、あれが現実だったのだと確信した。
人の姿を見るとその人がどう死ぬか、後どれくらいで死ぬのかが分かったからだ。
見えた訳ではない。ただ何となく分かったのだ。
それからは特に何かをする訳でなくいつも通りに過ごした。
しかし変わった事もあった。
例えば寒さや暑さを感じないのだ。
そのお陰で毎日服を考える必要も、寒さや暑さで体調を考える必要も無かった。
飲食も生きるのには必要ない。が、飲食することは出来る。
だから俺は金を生み出して高級料理等を食べるようになった。
しかし神の力を手に入れた人間がそんな普通の生活に満足出来る筈がない。
試しに俺は銀行で金を盗んでみることにした。
だが、神である俺には造作も無かった。
壁を抜ける事も、カメラに自分が映らないようにする事も、他の人間から自分の姿が見えないようにする事も。
なんでも出来た。
それ故に一切の証拠を残すこともなく、いとも簡単に盗めてしまった。
それが余計に俺の欲を増幅させた。
それから俺は色んな仕事を転々とし、占い師でひとまずは落ち着いた。
目の前の生物がどう死ぬか、いつ死ぬか、どう生きるのか。
それが俺には見えるし、変えることもできる。
疑ってくるやつには手から火を出してみたり、姿を消してみたり、到底人間には出来ない事を見せ付けて疑いを消していった。
占い師というのは地味だが、目の前の生物の人生を左右できると考えると楽しいものであった。
そんな楽しい日々を過ごしていたある日、仕事終わりに裏道を通っていた時に突然背後から聞き取れない男の声がした後、一つの音が大気に響いた。
パァンッ…
「やった、やった!やったぞ!良くも俺の人生をめちゃくちゃにしやがって!」
銃を持つその男は俺の頭に弾が当たったのを確認して喜んで近寄ってきた。
だが神である俺は死なない。
このまま死んだフリをしているのもありかと思ったが、錯乱して騒がしい男の声に俺は段々と不快になってきた。
そして俺は初めて神の力で人を殺した。
特に何という事は無かった。
実際に自分の手で殺めた訳では無いからかもしれない。
俺は男から離れ、銃がそのままな事を思い出して一度戻ってみたが、その時にはもう銃も男も居なかった。
俺は次の日にはいつも通り仕事を行った。
それからどういう訳か、俺を狙ってくる人間が増えてきた。
その度俺はそいつらに死をプレゼントしてやった。
人間が死ぬ事に特に何も感じず、玩具で遊んでいるような、そんな感覚だった。
占い師として玩具で遊び、時に壊して、そんな日々を過ごしていた。
神の力を手に入れてからというもの、怪我や死に対する恐怖も無くなり、無意識のうちに周りを警戒することも無くなっていた。
そんな時だった、俺が死んだのは。
何が起きたのかすら分からずに、俺はいつか見たあの空間で神と対面していた。
「おい俺を生き返らせろ」
俺はそう神に突っかかった。
しかし神の返答は「何故そんな事をしなければいけない」その一言だった。
「ふざけるな!俺は神だぞ!」
俺はそう叫び、神を殺そうとした。
しかし神の力は、いつの間にか失われており不発に終わった。
「人間なら幾らでも代わりは居る」
その神の言葉に俺の怒りは頂点に達した。
「俺は人間じゃない!神だ!神になったんだ!」
「そうそう、お前は幾人も殺めたな。地獄で鬼たちが待っているぞ」
その神の言葉が終わると同時に、俺の足元に突如穴が現れた。
直感的にその下が地獄だと分かった俺は、咄嗟に離れようとしたが、何も出来なかった。
そうして俺は何をする事も許されずに穴に落ちた。
「俺は神だぞ!」
そう叫んでみるも、神からの返答もなく、力が戻る事もなかった。
グシャッ
皆様こんばんはラム肉です。
まずは見ていただきありがとうございます。
久々に息抜きに短編を書いてみようと思い、大体17時から30分程で書きました。
なので前から言っていた本命作品では無いです。
一応元々少し頭にあった設定(神の力を与えられる)を形にしたものなので自分ではおかしい所はないと思っているのですが、先程も言ったように30分程で書いたので多少おかしいところがあるかもしれませんが、ご愛嬌ということでお願いします。
もしこの作品でラム肉を知って下さった方がおられましたら良ければ作者ページから別作品も見てみてください。
オススメは「僕は猫」と「心喰い」の二つということにしておきます!
ではラム肉でした。




