三、生成AI、もし使うならどうなるか
前回はネットコンテンツには速さが求められる。しかし、良いものを作るには試行錯誤したり、見直しなどして時間がかかる。
より早く、良いものを作りだすにはどうすれば良いか。
クリエイターが生成AIに関心を持つのはその辺りの事情がある。
ネットコンテンツの評価が質よりも数と早さを優先する以上、AI製コンテンツがはびこるのは自然な流れである。
そんなことを語りました。
では、
ここまででいくつかの生成AIユーザーの方のブログ等を拝見して、仮に自分の小説「虹色の英雄伝承歌」の一章冒頭の、文章化していない導入部を生成AIで映像化するなら、
「大空を飛ぶ白い鳥、その眼下には緑、木々と草原で構成された大地の合間に伸びる街道。
そこに革鎧を纏い、剣や槍で武装した兵士たちや驢馬を連れた行商人が行き交う。その脇には海に向かって緩やかに流れる大河。
街道と川の先には川の両対岸に広がる壁で囲まれた港街の光景が広がっており、鳥はそこに向かって飛んでいく。
壁の先の町は15世紀の北フランスのような町並みが広がっており、たくさんの人々が町を行き交っている。
鳥はその町の上を飛び、中心部にあるローマのコロッセオを思わせる闘技場の外壁の上に留まると下を見下ろす。
闘技場の中心は砂がしかれた広い楕円の広場があり、そこには二人の人物が立っている。映像は鳥の視線からそこに向かってズームしていく。
途中観客席の、様子が映る。
大勢の人々が興奮した様子で歓声をあげている様を映した後、対峙する二人の人物にカメラが向く。
その人物の一人は剣と盾を手に持ち、粗末な服の上に革鎧をまとった細身の若い青年、無表情で剣を構え、相手を見ている。
対する相手は牛の頭を持つ屈強な上半身裸の大男、巨大な斧を両手で持ち、鼻息荒く相手を見ている。
二人は闘技場で、激しく動き回りながら戦う。
青年は大男が振るう斧をかわし続け、隙を見つけると切りつける。
すると傷口から黒い霧が吹き上がり、大男はのけぞって絶叫する。
ここまでを90秒の動画にして」
このくらいの指示が必要になるのではないでしょうか。
もちろん、これで思い通りの動画が出来なければ都度AIへの指示文を加える。
しかし、自分はこの光景を小説に書かなかった。
理由はこの物語の導入に必要がないから。
余計な前置きをせず、いきなり主役の活躍を見せて読み手を物語に引き込む。
なぜならその方が小説というメディアではよいと思ったから。
これが相手に情報を一方的に流す映像なら冒頭、風景描写をしばらく映して作品世界に浸らせてから本編に入るのもありかもしれないが、読む側が文章を読んで内容を理解する行程がいる小説では、余計な情報はノイズになることもある。
この判断がAIにできるかどうか。
つまり、自分の場合AIが生成した小説の冒頭一万字を読み、これは自分の書きたいものには要らないのでまるごとカットとかもあり得るのである。
それと生成AIで高度な画像を産み出すには上で書いたような具体的な指示が必要で、例えば
「○○作って」
みたいな短く簡単な指示では細かい部分までは生成してはくれないらしい。
ただ、自分は元々マンガで創作をしようとしていて絵も多少かけるので、結構頭のなかでコマ割り形式で映像が思い浮かぶタイプ。
なので自分の小説がもし映像化されるならこうしたカット割りでやるかな、みたいなことが思い浮かぶ。
なのでこうした文章がけっこうすらすら出てくるが、果たして他の人はどうだろうか?
要は生成AIといえどもユーザーの望みのものを出すにはそれなりの技術の蓄積、試行錯誤が必要となる。
まして、細かい部分やしぐさに人物の感情などの意味を持たせるとなればさらに細かい指定が必要になるだろう。
とはいえ、このくらいの指示で緻密な動画を作れるのならすごいのは確か。だが、反面これを実現するためには生成AIにどれだけの画像や映像を学習させる必要があるのかとも考えてしまう。
しかし、今後は生成AIに文章を書かせて自分は推敲をメインにして両立を図る作家が他にも出てくる可能性はある。
自分も書く速度をあげるための手段としてストーリーや設定を考えて、AIに書かせて仕上げは自分で、とかは考えたことがあります。
なぜなら今後商業創作の道に入ったなら質だけではなく書く速さとの両立が求められるから。
そうなった時AIの助けを拒めるかというと難しい。
とはいえ、自分は結構秘密主義なので、自分の小説の構想や設定のアイデアを学習したAIが誰かに同じアイデアを提案されるのは困る。
仮に使うのなら完全に独立した、AIに学習させた内容が他人には使えないAIを使いたい。
なので、アマチュアである限り、速さを追求するために権利侵害などのリスクを承知で生成AIを使わなければならない理由は自分には今のところ無いです。
続く。




