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一年後
高校三年生の春。しゅうとこたには、同じ大学への進学を決めていた。
桜舞い散る校庭で、しんじが二人に声をかけた。
「お前ら、相変わらずラブラブだな」
「うるさいよ」こたにが笑いながら答えた。
しんじが急に真面目な顔になった。「でもさ、本当に良かった。あの時は一体どうなるかと思ったけど」
しゅうが不思議そうに聞いた。「あの時って?」
「ん?」しんじが慌てたように手を振った。「あ、いや、なんでもない。二年前に落ち込んでた時のことだよ」
でも、しんじの目には、もっと深い何かを知っているような光があった。
窓際の席では、名前を知らない女の子が静かに微笑んでいる。彼女だけが、全ての真実を知っていた。
時間は、時として残酷だ。でも、真実の愛があれば、どんな時の歯車も、最後には正しい方向に回り始める。
そして、今日もまた新しい一日が始まる。今度は迷うことなく、二人で同じ未来へ向かって。
桜の花びらが舞い踊る中、三人の笑い声が響いていた。