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神事の終わり
『真実が明らかになった』
再び声が響く。
『時の歪みは修復される。しかし、失われた時間は戻らない』
周りの景色がまた変わり始める。
「しゅう」こたにが手を伸ばした。「私はもう、元の世界には戻れない」
「どういう意味だ?」
「私は過去の人間だから。でも、あなたたちは現在に戻れる」
しゅうは必死に手を伸ばした。「待ってくれ、今度こそちゃんと——」
「もう十分よ」こたにが微笑んだ。「真実がわかっただけで十分。私たちは両思いだったのね」
転校生の女の子が言った。「でも、現在のあなたには、新しい未来がある。過去に囚われる必要はない」
しゅうの手がこたにに届きそうで届かない。
「忘れないで」こたにの声が遠ざかっていく。「私たちの気持ちは本物だったって」