第14話「神は死んだ、ではその先は?」
——世界は、静かだった。
崩壊と再生の果てに訪れたこの地は、もうかつての“秩序”を持たない。
大地は新しく、空は澄み、人々は“誰かに従う”のではなく“自ら問う”ことを始めていた。
創世連盟は消滅し、「思想の書庫」も役目を終えて静かに崩れ去った。
ユウは高台に立ち、変わりゆく風景を見つめていた。
「……これが、俺たちの選んだ世界」
リラが隣に並び、小さく微笑む。
「正解を求める時代は終わった。でも、そのぶん、ちょっと不安だね」
「だからこそ、“生きる価値”がある」
そう言って、ユウは拳を握る。
そこへ、ソフィアとクラウスが合流する。
「新しい学びの場を作るつもりだよ」とソフィアは言い、「人の問いが生まれる限り、哲学は終わらない」とクラウスが続けた。
ユウは頷き、静かに言う。
「俺は……ここを去る」
「えっ?」
「この世界で俺にできることは、もう終わった。次は、別の世界で問いを見つけたいんだ」
リラが目を見開く。
「でも、どこに行くの?」
ユウは微笑み、肩に乗ったニーチェくんを指差した。
「さあな。こいつが“面白そうな場所”を知ってるらしい」
ニーチェくんは、にかっと笑う。
「さあ、“問いの旅”に出かけよう。正解はいらない。必要なのは、歩み続ける意志だけだ」
——旅立ちの朝。風が、軽やかに吹いていた。
ユウは背中を向け、歩き出す。
その一歩一歩が、“神なき世界”の未来を紡いでいく。
終わり、そして始まり。