表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

第10話「神の選定」

——その声には、確かな重みがあった。


「君こそ、次なる“神”にふさわしい」


闇の中から現れた男は、フードの奥に鋭い双眸を宿していた。その口元には、揺るぎない確信。


ユウとリラはすぐに構えた。だが男は攻撃の気配を見せない。


「誤解しないでくれ。我々は“創世連盟”と呼ばれる思想結社だ。世界に新たな価値体系を創るため、次の“神”を求めている」


「……神、だって?」


ユウは思わず口にした。


「この世界には、あまりに多くの“理念の断片”が溢れすぎている。誰もが答えを探し、誰もが迷っている。ゆえに、私たちは“一つの軸”を欲しているのだ」


フードの男は語る。


「君のような存在——“意志の火種”を持ち、他者に響く言葉を紡ぐ者こそが、神に最も近い」


リラが前に出る。


「お断りよ。ユウは“選ぶ者”であって、“崇められる偶像”じゃない」


「同意するゾ」


どこからともなく現れたニーチェくんが、ぴょこんと飛び出す。


「“超人”は、神ではない。“人間を超える存在”とは、“自分で価値を創る者”であって、誰かに崇められて満足する者じゃないゾ」


だが男は笑みを崩さない。


「ふむ……やはり、君たちは面白い。ならば、試させてもらおう」


男が手をかざすと、大地が揺れた。


地面が割れ、虚空のような空間が出現する。その中から、人の姿をした“虚無の存在”たちが現れた。


「“神の言葉”とは、信じる者がいてこそ成立する。君は、彼らを前にしても“自分の言葉”を貫けるか?」


ユウは剣を構える。


「……望むところだ。俺は誰かの神になるつもりなんてない。でも、“俺の人生”に誇りを持って生きてる」


“意志の剣”が光を帯びる。その輝きは、どんな神話の神器よりもまばゆかった。


リラが背を預け、ニーチェくんが叫ぶ。


「いくゾ、超人候補! “神”なんて、超えてしまえ!!」


——新たな戦いが、静かに幕を開けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ