シュトルツのホットケーキ講座(レシピあり)
今日の朝ごはんは是非、ホットケーキにしませんか?
「ホットケーキ?」
突然、前の男が言い出したことに、僕は思わず、おうむ返しした。
「そう、ホットケーキ。え? まさか知らない?」
そう言ったシュトルツの手にはボウルーーその中には材料が詰め込まれてあった。
「わかりますよ! それくらい! いくら箱入りだったからって、馬鹿にしすぎじゃないですか?」
その日、泊まることになったのは、とある一件の空き家。
キッチンがまだ使えるということで、何故かシュトルツが料理をし始めた。
野営の時はいつも彼が料理を買って出てるから、意外でもなんでもないけれど……
どうしてホットケーキなんだろう……
「ほら、エーレさん甘党じゃん?
普通のご飯まともに食べてくれないし。たまには甘いものでも作ろうかなって」
あー、この男は、世界がエーレ中心に回ってたんだった……
僕は普通に、ご飯が食べたいんだけど。
「私たちが作っておくから、シュトルツは普通に料理を作ってくれないか?」
そこにリーベがやってきた。
「え、やだよ。エーレさんが食べるのは、俺が作らなきゃ」
「なんですか、その使命感……僕、普通にご飯が食べたいんですけど」
ボウルから材料を取り出して、量りを持ち出したシュトルツ。
ホットケーキミックス、卵、牛乳、バター、何故かマヨネーズ。
そして泡だて器と生クリーム。計量カップもある。
「しょうがない、私が作るか」
隣にやってきて、袖をまくり始めたリーベ。
「え、リーベも料理、出来るんですか?」
彼が料理をしているところは、一度も見たことがない。
まぁ、エーレがしてるところも見たことないんだけど。
「やめさせて? リーベが作ると、まともなの、出てこないよ」
ホットケーキを作るのに、とりかかり始めたシュトルツが当然のように言った。
「リーベ、もう諦めて買ってきましょう。
とりあえず、ホットケーキだけ作りましょう」
それが一番だった。
ホットケーキを自分が作ると、譲らないシュトルツと、どんな料理が出来上がるのかわからないリーベ。
それが最適解だ。
「じゃ、悪いけど、ホイップ作っておいてくれない?」
どこかから取り出した、エプロンを僕とリーベに投げてきたシュトルツ。
「ホイップって、どうやって作るんですか?」
自慢じゃないが、僕は野菜すら剝いたことがない。
城では、待っているだけで、料理が出てきたし。
むしろさせてもらえなかったし。
「これだから、お子ちゃまは~
普通に生クリームいれて、泡だて器で混ぜて。
あと少しずつ、砂糖も足してね。
筋トレになるよ、たぶん」
へぇ、これを混ぜるだけで、ホイップって出来るんだ~
「リーベは見てるだけでいいから。あ、それかアイスクリーム買ってきて。
ちょっと高いけど、俺のポケットマネーから出すから」
シュトルツはそう言って、自分のポケットをポンポンと叩いた。
不満そうな顔をしながら、リーベがそこから、シュトルツの財布を取り出す。
渋々、アイスを買いに出ていったリーベを見送り、「さて」とシュトルツが言った。
「お子ちゃまも、甘いもの好きでしょ? なんせお子ちゃまなんだから」
「お子ちゃまお子ちゃま、言わないでください。
勿論、甘いものは好きですけど」
「まぁ、薄く焼いて、重ねるのもありなんだけど。
今日はレトロ風に行こうかな。昔ながらのホットケーキ」
生クリームを泡立て始めた僕をシュトルツが手招きする。
彼は量りに小さめのボウルを乗せて、そこにホットケーキミックスを入れ始めた。
「とりあえず、ホットケーキミックスを100g」
きっちり100g量ると、彼はそのボウルを隣に置く。
「で、別に。
Sサイズの卵を一つと、バター大匙1。牛乳は少なめね」
彼はSサイズがなければ、卵はMでもいい、と付け加える。
その場合、生地を混ぜる時に、ホットケーキミックスを少し足す時もあるとか。
計量カップを取り出して、彼は慎重に牛乳を入れ始めた。
「大事だから! ここ!
昔ながらの厚め、ふんわりホットケーキは牛乳多かったら、駄目だから!」
’’ホットケーキ100gあたり、牛乳は25㏄’’
彼はそこを強調しながら、牛乳を卵の入ったボウルに流し込む。
「で、マヨネーズも大匙1」
「え? マヨネーズ入れるんですか?」
ホットケーキにマヨネーズって……
「マヨネーズ入れたら、ふんわりするのよ。これだから、お子ちゃまは~」
「それ本当ですか?」
「まぁ、食べるときに騙されたと思って、食べてみたらいいよ」
そう言って、卵の方のボウルw上機嫌で、混ぜ始めたシュトルツ。
彼は、料理が好きなのかもしれない。
いや、ただ単にエーレの食べるものを、作ってるからだけかもしれないけれど。
「で、液体の方をしっかり混ぜたあとに、ホットケーキミックスを入れて混ぜる。
最初から一緒にしても問題ないけど、まぁこっちの方がふんわり出来上がるから」
「思ったより、簡単なんですね」
「だって、ただのホットケーキだし?
あれね、混ぜた時の生地が、ねっちょり混ざるくらいね。
液体が多すぎて、伸びすぎたら、薄くなっちゃうから」
そう説明する彼の隣で、僕の混ぜる生クリームは一向に、形になる気配はない。
もう疲れてきた……
「これくらい、わかる? この感じがベスト。
伸びすぎたら、ホットケーキミックス足してみたりね」
満足気に混ぜた生地を見せてくるシュトルツ。
この感じがベストと言われても、焼く前のホットケーキを初めて見るのに、わかるはずがない。
「で、火は鉄板があれば一番いいんだけど。
フライパンを熱して、生地を入れる。
この時に、生地を伸ばして入れすぎないように。
熱でどうにしろ伸びるから。そうだねぇ、直径13センチくらい?」
「13センチ……」
いつも色んなことが適当な癖に、そこだけ拘りを見せる彼。
エーレのことには、これだけ真剣になるんだから、普段ももう少しまともにしてほしい。
「火は170度がベスト。
でもフライパンだから、弱火でいいかな。
焼けるまで時間かかるし、火が強いと焦げちゃうからね」
生地を熱したフライパンに流しこみ始めたシュトルツ。
「下にバターとか、ひかなくてもいいんですか?」
焼くときは、なんでも基本的に下に油かバターをひくものなんじゃないのかな……
「んー、別に敷いてもいいけど、生地自体にバター入っているし?
フライパンなら油か、バターひいてもいいと思うよ。
俺はひかないけど」
そして、彼は生地を流し込んでフライパンの上に、蓋を被せた。
「で、生クリームまだ?」
「でって……全然まだなんですけど!」
説明を聞くのに集中してたのもあるけれど、もう腕が痛い。
「この家、冷蔵庫なんてないしねぇ。
あれば一旦、冷やせば早く泡立つんだけど」
「あー、そんなこと聞きますね」
「それは知ってたのね」
「しょうがないなぁ。氷水でも張ろうかな」
もう一つ、大きめのボウルを取り出して、そこに魔法で水を氷を作り出した彼。
あー、魔法って便利だなぁ。
僕も水の具現化なら出来るけど、氷の魔法はまだ発現していない。
彼らみたいに、本質以外の二次性質としての魔法が、発現する可能性なんて低い。
「じゃ、頑張って」
「え、もう腕限界なんですけど」
僕の前に氷水を張った、ボウルが置かれる。
「筋トレだから、それ。
俺面倒だし。あ、ちゃんとそこに置いてる砂糖入れてね。
一度に入れないように!」
もうシュトルツと何か作るの、今度からやめよ……
口うるさい姑みたいだ……
姑がどんなのか、僕にはわからないけれど。
「お、いい感じ。
乗せた生地の表面にポツポツ穴が空き出したら、ひっくり返してね」
誰に説明してるんだろう……
僕なのかな……
そうして、やっと完成したホットケーキ。
「じゃ、あと3枚焼いてくからその間に生クリーム完成させといてねぇ」
そう言って、リーベが帰ってくる頃には4枚のホットケーキと、生クリームが出来上がった。
たしかに厚くて、ふんわり焼けていた。
「あ、エーレさんはメープルシロップより、蜂蜜派だから!」
「あ、そうですか……」
そんなどうでもいい情報を僕たちに共有しながら、最後に焼いた一番綺麗なホットケーキに生クリームとアイスをトッピングするシュトルツ。
そして綺麗に盛り付けたものを、意気揚々とエーレに持っていった。
冷めてしまっているホットケーキ3枚は放置されたままだ。
どうやら自分の分は、自分で適当に盛り付けろということらしい。
唯一の救いは、リーベが他の夕食を買ってきてくれていたことだった。
僕はリーベをちらりと見る。
すると彼は肩を竦めて、苦笑して見せた。
「私たちも適当に食事を済ませるか」
「そうですね……」
それなりに大きいホットケーキ1枚と、リーベが買ってきてくれた食事。
全部食べられるかな……
扉の先でシュトルツとエーレの話声が聞こえてくる中で、僕とリーベは自分の分のホットケーキと食事を、近くのテーブルに並べることにした。
☆レシピ
A・ホットケーキミックス100g
B・牛乳25㏄(だったはず、あとで量りなおして間違ってたら編集します)
・バター大匙1’(マーガリンでも可)
・マヨネーズ大匙1
・卵S(Mでも可)
1。まずBを混ぜる。
2.BにAを入れて、切るように混ぜる。最後はしっかり混ぜても大丈夫です。
この時、生地が伸びすぎてるならホットケーキミックスを足してください。
クッキー生地までではありませんが、ねっちょりしているのが理想です。
3、熱したフライパンに生地を流します。弱火で大丈夫です。強いと焦げます。
熱で伸びてくるので、一回りか二回り小さめの形で入れてください
4.フライパンを蓋で閉じます。
5.上に穴がぽつぽつと出来たらひっくり返します。
6。しばらくして焼けたら、出来上がり。
※フライパンだと焦げやすいので、適度に確認してくださいね!
読んでいただきありがとうございました。
うちの店で焼いているホットケーキのレシピを紹介してみましたw
最近流行りの薄いパンケーキではありませんが、昔ながらも分厚い一枚のホットケーキのレシピです!
生クリームとアイスを乗せたり、餡子やフルーツをトッピングしても美味しいです!
シュトルツにそのホットケーキを作らせたかっただけなので、文章が適当だったらすみません……
ちなみに焼くのが面倒なので、ランチタイムに通ると、私の顔は死んでいます。
もし気になったら焼いてみてくださいね!
牛乳の分量がちょっとはっきりしないので(それ専用の量りがある)間違ってたら、あとで書き直しておきます!
ここまでありがとうございました!