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第22節 悶々

 あのパライダイス飲み会……だったかどうか結果的に良く分からんかったが1週間の盆休みへと突入した。

 休みの日となればいつも俺は昼ごろ目を覚ます。そしてフラフラと冷蔵庫へ向かい冷凍ジャンボピザを取り出しレンジで瞬間焼き上げ。そして大好きな牛の乳をマグカップへと入れる。そしてそのままトレーで運んでバケットシートへ体を沈めてピザをかじりながらゲームフィールドへと入る。

 ここまではいつも通りの動きだ。

 しかしだっ! いつものワクワク感が全く沸いて来ねえ……

 おかげでチームのみんなに迷惑かけまくり。リーダーのリョウさんには「何か悩み事でもあるの?」なんて直接回線で聞かれたくらいだ。まったく面目ない。実は理由は簡単だ。俺があの女の事ばかり頭ん中で考えちまってるからだ……


 ――細い体にうすっぺらな胸。細い首すじとキレイな横顔。そして俺に見合い相手が元カレだったと漏らして赤く涙で濡らした目。


 これって恋煩い? 年甲斐もなく? 俺のくせに?

(くそっ、なんで馨ちゃんは俺にあんなことを言ったんだ……? ああー、クソ、馨よぉー、馨ちゃんよぉ……)

 と、この悶々とした気持ちを馨ちゃんのせいにしてみる。

 元カレの事は随分と昔に少しだけ聞いたことはある。結構ドロドロな状態だったようなことを言ってた記憶はある。まあ、その男のことかどうだか分からんが。

「やっぱ元鞘ってことになるんだろうな……」

 と、俺は呟く。そう口にしてみたものの頭の中には俺としては思ってもならない、とても人には口にできないようなおっ恥ずかしい(、、、、、、、)思考が沸き出てくる。


 ――普通、そんな感じで分かれた男に再び会おうなんてするのか?

 ――女っていうのは別れたらあっさりと忘れるもんじゃねぇの?

 ――馨ちゃんのキャラならなおさらだ。

 ――それがなんで見合い拒否しねぇで会ったんだ?

 ――もしかしてあの日、男と会ってたとか?

 ――それで目が赤かった?

 ――もしかして男に無理に迫られた?

 ――で、俺に……ふっ、これは無いな……


 俺の空想と妄想が薄っぺらな男女知識を元に色々と作られて行く。そのあげくは馨ちゃんの紅潮したエロ(ヅラ)が浮かび上がり、そしてエロい吐息が頭にこだまする。

 おかげで俺の集中力はその後お股の方へと行く。


 悶々…… 悶々……


「いやぁーかたじけないっすわぁー。ちょっと夏バテかも。申し訳ないけど早めに落ちさせてください」

 俺はこのままじゃまずいと思いとにかく落ち着きを取り戻す作戦へと出た。

『体、気を付けてくださいね。戦闘は体が資本ですからね。メンバーでトレーニングとミーティングやってるから気にしないでください』

 優しい言葉をかけてくれるリョウさん。

『肉食ってます? 夏はガツガツ肉食ってスタミナつけてくださいよ』

『無理せずゆっくり休んでくださいよ。クラン戦は当分休んで適当に大戦にでも参加しましょうか?』

『大戦いいですねー』

 とメンバーは俺の本当の異常さに気付く訳もなく、俺を気遣う優しい言葉をかけてくれた。

 俺はその言葉を胸に納めネットから抜けた。

 でもね、皆に悪いけど本当は馬耳東風ってヤツだ。何も頭の中には残っちゃいない。


 パソコンを切って真っ黒になったドームモニターには俺の悩ましい不細工姿が映っていた。

「はぁ……疲れる……。俺がこんな事にあれこれ悩んでどうするんだっつーのっ」

 俺がこんな時に気を紛らわすには方法はひとつ。

 俺は落ち着きを取り戻すため再びパソコンを起動させ、自己処理をすることでなんとか熱くなっていたものを鎮めさせる。そして冷えた缶ビールを飲んでさっさと寝ることにした。

 でも、結局残るのは虚しさなんだよね……

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