第10節 コンビニ娘に会いたくて
っつう事で早速次の日の夕方、俺はコンビニ娘に会いに行ったのであった――
ちょくちょくここには来ているが、今日はいつも以上にコンビニ娘に注意を払わなくてはならない。なんだか探偵気分でもある。
何気ないそぶりでコンビニのドアを開け突入。1時方向、レジ内に目標確認。肌艶良好な女子2名。手前の小柄な女子はファンタスティックな突起物を所持。オートマチックで目線がロックオンしちまうぜ。
俺は逸る気持ちを抑え、レジをそのまま横切って弁当コーナーへ直行。そして品定めといくわけだが、もういい加減飽きてきたな。というくらいコンビニ弁当の世話になっている食生活。誰か俺のエサの世話してくれる女子はいないものだろうか?
「ま、いつもの特盛り牛肉弁当でいいっしょ」
と牛肉弁当とデザートのジャンボプリンちゃんを手に取るとすぐに俺は優輝ちゃん好みのコンビニ娘のいるレジへと向かった。
「いらっしゃいませ」
鈴の音のような可愛らしいキラキラの声で俺を迎え入れてくれた優輝ちゃん好みのコンビニ娘。娘は色白のやせ形でパイが無い。俺的には全然、まったく、どえりゃあ、と言うほど物足りないがパッチリおめめは猫みたいな感じだ。猫娘と呼ぼう。
「ねえ、橘優輝って知ってる?」
俺は弁当とプリンを置くと同時に猫娘に聞いた。
「は?」
猫娘は丸い目をさらに大きくして俺の顔を見つめてきた。
(うむ、照れるじゃないか……)
俺よりも盛り上がりのない胸の上につけられた名札には三枝希恵とふりがな付きで書いてある。
(希恵ちゃんか……)
猫娘……猫といえば、にゃん。
只今より猫娘改め、希恵にゃん。
「すみません、ちょっと知らないですね。お弁当は温めますか?」
希恵にゃんは、ちょっとぶっきら棒に答える。ふんふん、まだ彼女の方は優輝ちゃんを知らないのね。ここは俺が恋のキューピットになっちゃおうかなあ。
自分の世話ができないくせに人の事は世話したがる俺はお節介?
いやいや、優輝ちゃんのためを思ってなんだ。お節介だっていい。だって希恵にゃんの隣にはファンタスティックガールがいるんだからな。
「ああ、そっかぁ。なるほど。あ、弁当は温めてちょ。愛情たっぷりでよろしく」
希恵にゃんは俺のつまらない言葉に軽く吹いてくれて弁当を温めてくれた。優しいなぁ希恵にゃん。ナイスだぜ。
「お代は870円になります」
「IDでよろしく。あ、俺、永沢守です。よろしく」
希恵にゃんは俺の自己紹介に軽く驚くも「どうも。私は三枝希恵です」とお気軽に返してくれた。
(うーん、いいじゃない。ユウキちゃんにはもったいないなぁ。いや、こういう子がアイツには必要だ)
「はい、ナガサワ マモルさま。870円IDで入りました。どうもありがとうございました」
「はい、どうも。ちなみにお歳は?」
「え? あ、一応20です」
「ども、そんじゃまた」
偵察第一弾はこれぐらいにしておこう……じゃない! 危ねぇ、危ねぇ。お隣のファンタスティックガールも調査しとかなきゃ。
飛びつきたくなるような豊満な胸の先っちょにのっかる名札が俺の目玉を吸い寄せる。
(早川涼子ね)
俺は涼子ちゃんに聞いてみた。
「俺、よくここで弁当買ってるんだけど、そろそろ新商品とかでないのかねぇ? ちょっと飽きてきちゃってねぇ」
と、実際どうでもいいような事を聞いて会話を作らないとな。
「この時期は冷麺とか冷たいものの方が色々と種類が出るんですけどね」
軽い釣り目にちょいと大げさなつけ睫毛のファンタスティックガール涼子に、俺はちょっとツンテン風味を感じていたが、意外にも俺の質問に丁寧に答えてくれちゃったよ。人は見かけによらずなのだ。
「うむ、なるほど。ちょっと俺には物足りねぇからなぁ、その辺のやつは。ちょくちょく俺来るんで、なんかお勧め弁当が入るときは教えてちょ」
「あ、はい」
ファンタスティック涼子は気なしの表情で応えた。それとは対照的に、後ろで会話を聞いていた希恵にゃんは妙にニコニコしていた。こいつに優輝ちゃんはハマったに違いない。俺もちょっとお股が反応した。
「そんじゃ、永沢守でしたー」
俺はコンビニ娘たちに手を振って店を出た。
脂の乗った女子はもちろん最高ではあるが、これからの臭いがプンプンする若年女子も良いと思ったな。そんな俺は犯罪チックな妄想をしてしまいそうで、自分のヤバさに焦った。
ま、それはさておき。これからのコンビニ通いが楽しくなるな。フフフフ……
げ、やっぱ危険な妄想が……危機的心境所持三十路男、永沢守。これからもこのまままっすぐに生きて行きます!