命をつないでいけるだけの報酬が貰えるか不安ですね
とりあえず冒険者登録は終わったから、クエストとやらを受けてモンスターを倒せばいいんだよな。でも、俺はFランク冒険者だから簡単なクエストをこなしていかないといけないはずだ。頑張ってコツコツ稼いでいこうか。いくら神様から力を貰ってるからといって、好きだい使いまくるのもよくないよな。
「初クエストは慎重に選んだほうがいいわ。私も今ではいい思い出だけど、初クエストではひどい目にあってるから。デンジロウにはそんな思いしてほしくないわ」
まだレイリヤは俺に付き添ってくれている。冒険者登録を終えて、クエストが貼られている掲示板にも同伴だ。いつまでついてくるのかもはやだれにもわからない。手伝ってくれるのはありがたいが、クエストまでついてこられると、力を試すのに支障が出そうなんだよなぁ。
「ありがとうございます。こんなによくしてもらっててあれですけど、レイリヤ先輩はクエストにいかなくても大丈夫なんですか?」
「ええ、私はソロで活動してるから基本的には自由に行動できるの。昨日はしっかりクエストをこなしてきてるのよ。それで今日は休暇日にする予定だったの」
「そんな日にいろいろ教えてもらってすいません。もう俺も大丈夫そうなんで後は自分で頑張ってみます」
やんわり断ろうと試みる。これでレイリヤが帰ってくれれば俺は適当なクエストを受けて、力を試しに行ける。本当に助かったからちょっと申し訳ないがこればっかりはしょうがない。
「ダメよ、新人冒険者はパーティに入れてもらってクエストに挑むのが普通よ。デンジロウが一人でクエストに行くなんて危険だわ。私がついて行ってあげるから安心して。私はこれでも出世頭のBランク冒険者なんだから」
俺の試みは失敗に終わったようだ。邪険にするわけにもいかないし、今日のところは一緒に行って適当にクエストをクリアしておくか。あんまり粘って一人で行きたがるのもおかしいだろう。それに、こんな可愛い子と二人でクエストに行く機会なんてこれを逃せば一生ないかもしれない。せっかくだし今日は楽しもう。
「それじゃあ、よろしくお願いします。何かおすすめのクエストはあったりしますか? 俺にはどれがいいかわからなくて……」
「初心者がまず、戦うモンスターと言ったらゴブリンよ。Fランクのモンスターで、小さめの人型モンスターね。もしくは、スライムとかもありかも。でもスライムはちょっとぶよぶよしてて倒すのが面倒だから私はゴブリンをおすすめするわ」
ゴブリンにスライムか。よくゲームなんかで出てくるモンスターだな。初めに戦うモンスターの定番だ。この世界でもそれが適応されているということか。
「レイリヤ先輩がゴブリンがおすすめって言うならそうしましょう。報酬は明日まで生活できるくらいは貰えますか?」
「それは大丈夫よ。あまりにも報酬が少ないってことはないから。新人冒険者だって生活があるんだから、危険度は低いとは言っても危険がないわかけじゃないから報酬はある程度は貰えるわ」
宿代が足りませんとかは大丈夫そうだな。せっかくクエストをクリアしても報酬が雀の涙ほどだったら悲しいもんな。生活費を稼ぐために冒険者になったっていうのに、金が足りないなんてあんまりだ。
「そう言えば俺、武器とかもってないんですけど冒険者協会から貸し出してくれたりはないんですか? 別に素手で戦ってもいいんですけど、武器があるに越したことはないですよね」
「貸し出しとかはないわ。冒険者がもっている武器は鍛冶屋に行って買ってくるのが基本よ。たまに、自分で作ってるっている何て人もいるらしいけど少数派だと思うわ。武器がないのは少し不安ね。私の剣を貸そうか?」
「やめておきます。壊した時、弁償できそうもないですから。今日は素手でいくことにします。腕力にも自信ありますから」
人の武器を使って力加減をミスったらすぐに壊してしまう。ぶっつけ本番でそれをするのはあまりにも危険だ。いきなり借金生活になってしまう。まだ力加減もよくわからない状況ですることじゃないな。
「大丈夫なの? でも危なくなったら私が助けてあげるから安心していいわ。ゴブリンくらい何百体来ようが楽勝だから」
「それは心強いです。頭の片隅に記憶しておきます。あまり頼りにしすぎるのもよくないと思うんで。レイリヤ先輩この紙はどこの窓口にもっていけばいいんですか?」
ゴブリン五体の討伐と書かれたクエスト手に取る。
報酬は20ゴールドと書かれているが、一体これがどれくらいの価値なのかは俺にはわからない。レイリヤの話を信じるなら、宿代プラス飯代はこれでまかなえるくらいはあるってことだよな。
「その紙をもって真ん中の列に並べばいいわ。あそこがクエストの受付窓口よ。そしてその横がクリア報告をする窓口。だから帰ってきたときはあっちね。万が一、失敗してクリアが厳しそうだったら、右端の窓口に行けばクエストをリタイヤすることができるわ。あまり、使う機会はないとおもうけど一応覚えておいたほうがいいわ」
「ありがとうございます。それじゃあ、持って行ってきます。レイリヤ先輩はここで待っててください」
「わかったわ。私も明日以降行くのに目ぼしいクエストはないか見てるから、受注が終わったら声をかけてね」
俺は、一人でクエストを受注するために列に並んだ。
あまり、ついて歩かれても保護者同伴で冒険者になったような気分になるので、今回は待っててもらうことにした。
はあ、優しさも行き過ぎるとおせっかいになっちゃうんだよなぁ。俺がただの新人冒険者だったらこれほどありがたいことはないってなってたんだろうけど、俺には神様から授かった力があるし、一人だろうと何も問題はない。まあ、レイリヤが魔王討伐の一人目の仲間になる可能性はあるか。よし、レイリヤの力もちゃんと見ておかないといけないな。