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どうやら俺は期待の新人になりつつあるらしい。

「次の方どうぞーー」


 窓口のお姉さんから声がかかる。ついに俺の順番が来たようだ。俺の前の人が、無駄に長くてしびれを切らしていたところだったんだ。


「はい、お願いします」


 冒険者カードとゴブリンを討伐して手に入れた魔石を一緒に渡す。

 報酬はいくらだったかちょっと覚えてないが、余計に1匹倒しているので少し上乗せされるはずだ。やっぱりほかのモンスターも討伐して魔石を稼いでおけばよかったと今さらながら後悔してしまう。あの時、レイリヤに諭されていなければ今頃俺は森でモンスターを狩りまくっていたんだろうな。


「デンジロウさんですね。あ、それにレイリヤさんも一緒なんですか? あれれ、デンジロウさんは新人冒険者ですよね? 二人はどういった関係ですか?」


「気まぐれで新人冒険者の手助けをしてあげただけよ。ワーロが疑っているような関係ではないわ」


「いい話のネタができたかと思ったのですが、残念です。では、ゴブリンの魔石が6個で間違いないですか?」


 流石にレイリヤは顔が広いな。とはいえ、ここは冒険者をしていればほぼ毎日並ぶことになる窓口だし、当然かもしれないな。


「間違いないです」


 俺は、ワーロの問いかけに答える。

 何も言っていないのに、ゴブリンの魔石だってわかるのは、俺がゴブリン討伐クエストを受注していたからなのか? それとも特殊な何かで判別したりしてるのか? でも、前者だと俺がもしほかのモンスターの魔石を持って帰ってきたところでわからないからな。何かで判別してるんだろう。


「初日からゴブリンを討伐してくるなんてやりますね。レイリヤさんは何匹倒してあげたんですか? 新人には群れのゴブリンは厳しいですからね」


「私は一切手を出してないわ。全部デンジロウが倒したのよ。この目でしっかりと確認したわ」


「ほ、ほんとですか!? それは、将来有望な新人さんですね。私はワーロ、見ての通り冒険者協会の職員です。以後お見知りおきを。見どころのある新人さんには是非我が町の冒険者協会を贔屓にしていただかなくてはいけませんからね。今度ともよろしくお願いします」


 ゴブリンを一人で討伐しただけで将来有望なのか。群れで行動しているゴブリンを新人冒険者が一人で倒すのは難しかもしれないが、少しでも戦闘経験があれば十分可能な気がするんだが……。


「ワーロさんですね。俺のことは……冒険者カードを見て知ってるとは思いますがデンジロウって言います。よろしくお願いします」


「ありがとうございます。近年、冒険者業界も優秀な人材の確保に追われていますからね。頑張ってこの町初のSランク冒険者を目指してください」


 Sランク冒険者って言うと、冒険者のランクの中でも最高のランクだよな。おいそれとなれるものではないだろうが、これだけ冒険者がいるこの町でも一人もいないとはかなり厳しい基準がありそうだな。


「それでは、報酬の50ゴールドです。1匹多く討伐していただいてるので、通常報酬の40ゴールドに追加してます。ちょっと多いですが、今後も贔屓にしていただくための賄賂ですので、受け取ってください」


「なんだか素直に喜べませんね。でも、ありがとうございます。ほんとにお金に困ってるので助かります」


 本来は1匹増えたところで10ゴールドも増えないってことか。


 俺はワーロからゴールドを受け取る。通貨の名前はゴールドだが、別に素材が金という訳ではなさそうだ。そもそも見た目が金色ではなく、銀色だ。もしかすると、金貨もあるかもしれないが、50ゴールド程度は使われていないらしい。


 枚数を数えてみたところ5枚だったので、一枚あたり10ゴールドの価値があるということだな。10円みたいなもんか。


「よかったわね、デンジロウ。50ゴールドもあれば、今日の宿代は余裕で足りるわね。ご飯は私が出してあげるから格安の宿でなくても泊まれるわよ」


 そう言えばレイリヤが飯を奢ってくれるんだったな。ありがたや。


「それでは、またクエストをクリアしたらこちらへお越しください。お疲れ様です」


「ありがとうございました」


 俺はワーロにお礼を言い、冒険者協会をから出ようとしたが、


「あの二人帰るつもりよ。レイリヤを抑えるのは無理だからデンジロウ君を押さえるのよ二人とも!!」


「オッケー」


「うん」


 俺たちの後ろに並んでいたレイリヤの友達3人衆が俺たちが帰るのを許してくれなそうだった。


 帰ろうとしていた俺の手に一人ずつ抱きついてきて足止めをくらう。


「ちょっといきなりどうしたですか?」


 できるだけ平静を保ってはいるが、女の子に抱き着かれるなんて経験初めてだ……それも二人から同時に。レイリヤじゃなくて俺のほうを止めるように指示を出してくれてありがとう。

 そんなことを考えていると、自然と足が止まってしまった。


「私が手続きを終えるまで、確保しておくのよ」


 さらに指示が出される。

 もう俺に抵抗する意思はないが、二人は俺を見上げて出口に向かわないように引っ張てくる。


「二人とも何してるのよ。早く放しなさい」


 ああ、レイリヤまだ大丈夫だから俺は大丈夫だからもう少しこのまま居させてくれ。

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