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そんなご馳走になっちゃっていいですか

 レイリヤについて歩くこと数十分、案外森の奥のほうまで進んでいたようで、抜けるまでに時間がかかった。

 森さえ抜けてしまえば、町は目の前に見えている。すぐに冒険者協会へ戻ることができるだろう。




 ほどなくして冒険者協会へ帰り着いた。

 夕暮れに差し掛かっており、あたりが暗くなり始めている。もう少しゴブリンを見つけるのに時間がかかっていたら夜の森をさまようことになっていたかもしれないな。レイリヤがついていてくれてたから、迷うことはなかったと思うけど。


 冒険者協会へ入ると、俺が最初に来た時よりも冒険者たちでごった返していた。


 そう言えば、朝と夕方は混むって言ってたっけ。それじゃあ、クエストのクリア報告には少し時間がかかるだろうな。レイリヤには先に帰っててもらおうか。今日一日付き合って貰っただけでもありがたいのに、これ以上、待たせるのも忍びない。剣のことなんかはまたあった機会で何とか考えよう。


「レイリヤ先輩、俺はクエストのクリア報告に行きますから、先に帰ってください。今日は本当に助かりました。ありがとうございます」


「フフッ、人が多いくて時間がかかりそうだからって気を使ってくれてるの? そんなこと気にしなくていいわよ。せっかくなんだし、デンジロウの初クエストクリアを祝ってどこか食事に行きましょう。今日はお姉さんがご馳走してあげるわ」


 なに? 飯を奢ってくれるだと……どうする? 正直とてもありがたいがそこまでしてもらってもいいのか? 


「いや、でも悪いですよ。結構時間もかかりそうだし。それに、剣もダメにしちゃったんですよ?」


「そんな困った顔市内の。こういう時は素直にご馳走になるものよ。冒険者なんだから図々しくいかなくちゃいけないわ。そうだ!! 私も一人でご飯って寂しかったのよ。だから、話し相手としてきて頂戴、どう?」


 もう断るのも逆に失礼だな。夕飯代が浮くのは助かるし、お供するとしますか。


「それじゃあ、お言葉に甘えていいですか? 俺、結構食べますよ?」


「好きなだけ飲み食いしていいわよ。私、特に趣味とかもないからお金だけ貯まって仕方なかったのよ。マイホームも夢じゃないくらいには貯金があるのよ? 夕食を豪勢にいったところで痛くも痒くもないわ」


 年頃の女の人としてはどうなんだろうとか思ってしまうが、冒険者、それもソロで活動してるんだ。かかる費用も少なくて済むだろうし、報酬も一人で貰えるもんな。その分、危険が付きまとうんだろうけど、そこらへんはちゃんと考えてクエストを選んでる用だったから大丈夫なのかな。


「ありがとうございます。俺は並びますけど、レイリヤ先輩はどうしますか?」


「そうね、ここで待ってても暇だし、一緒に並ぼうかしら。話し相手がいたほうが時間も早くすぎるわ」


 ということらしいので、俺とレイリヤは長蛇の列と言っても差支えない冒険者の列の最後尾へ向かった。


「あら、レイリヤじゃない。今日は確かクエストにはいかないんじゃなかった? うん? 横にいる子は誰?」


「ほんとだ!! レイリヤお姉ちゃんがいる、しかも男と一緒だ!! この裏切者!! 私たちのパーティーにはいくら誘っても入ってくれない癖に!!」


「レイリヤの裏切者……」


 レイリヤの知り合いなのか、三人組の女の人たちが話しかけてきた。


 見るからに熟練の冒険者感が漂っている。ローブを羽織った魔法使い系が一人、弓矢を持った狩人系が一人、軽装の剣士が一人だ。ちなみに全員かなりかわいい。初心者の勘だがわかるぞ、きっとこのパーティーはこの町でも有名なパーティーに違いない。


「みんなお揃いで今帰りかしら? 我が冒険者協会が誇るAランクパーティーは今日も忙しそうね。ご苦労様」


「労いの言葉ありがとう。無事にAランククエストを終えたところよ……って、私たちのことはいいの。ソロを貫いてたレイリヤが一体どういう風の吹きまわし? それに服が破けてるけど……」


 狩人系の女が返事をする。やっぱり、レイリヤのことが気になっているようだ。さっきの口ぶりからして、レイリヤをずっとパーティーに誘っているんだろう。しかし、一向に加入してくれないってことだよな。Aランクパーティーから烈々にスカウトされてるなんてやるな。


「ねぇねぇ、君見ない顔だけどレイリヤお姉ちゃんとはどういう関係? もしもたぶらかしてたりしたら私が許さないんだから!!」


「違いますよ。俺、今日冒険者になったばっかりでいろいろ助けてもらっただけです」


「ふーん、ほんとうに? 嘘じゃないよね?」


 なんかめんどくさいなこの子。見たところ俺と同い年か少ししたくらいだろうとは思うけど、レイリヤのことをお姉ちゃんって言ってる時点でタメか下は確定か。


「誓って助けてもらっただけです。レイリヤ先輩は俺の初クエストに同行してくれただけですから」


「そうよ、私が初心者のデンジロウが危険な目に会わないように、サポートしただけだからね」


 レイリヤも一緒になって俺の身の潔白を訴えてくれている。別に何もやましいことはしていない。


「だったら、なんでレイリヤの服が破けてるのかな? 初心者が行くクエストなんてゴブリンかスライムでしょ。そこを説明してもらってもいい?」


 まずい、そこを突っ込まれたら言い訳しずらい。蹴りの衝撃波でレイリヤに瀕死の重傷を負わせたとか言えるわけない。

 考えろ俺、何とかうまい言い訳でこの場を切り抜けるんだ。

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