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改めて考えると自分自身の怪しさが際立っていることに驚きだな。

「すごいわ、私の手助けなしでゴブリンを6匹も倒しちゃうなんてね。それに蹴り一発で。まあ、威力の調整は今後していかないと大惨事になりかねないからそこだけは注意しておいて」


「申し訳ございません。今後、このようなことが起こらないよう精進してまいります」


「あ、そんなつもりで言ったんじゃないから。素直にすごいなって思っただけよ。私が初心者の頃はゴブリンを倒すのにも苦労してたから、ちょっと嫉妬しちゃったかも」


 え? レイリヤが苦戦していたゴブリン相手に俺を一人で戦わせたのか? いや、きっと、男だから行けるとかそんな感じで考えてただけだよな。地味ないやがらせとかじゃないよな?


「ほら、ゴブリンの魔石を回収しないと。倒したモンスターの魔石を持ち帰るのは冒険者の基本よ。この魔石はクエスト報酬とは別で換金できるから絶対に持って帰るようにしないといけないわ」


 はて、魔石とは?


 とりあえず、俺が倒したゴブリンのほうを見てみる。すると、驚くことに死体が跡形もなく消えていた。そして、小さな石のようなものがきらきらと光っている。


「もしかして、あれが魔石ですか? 俺がさっき倒して時はゴブリンの死体が転がってたんですけど……ちょっと時間が経たないと魔石にならないとかあるんですか?」


「うーん、大体倒してすぐ魔石になるんだけど、デンジロウが確認したのがあまりに早かったとかだと思うわよ。いくら何でも倒した瞬間って訳じゃないから」


 確かに俺がゴブリンの死体を最後に確認したのはレイリヤが倒れているのを発見する前かもしれない。つまり、蹴りで首ちょんぱした瞬間ってことだな。死んだ瞬間はまだ早いってことか。


 俺は魔石を6個回収した。初心者向けのゴブリンの魔石なんて大した金にはならないとは思うが、無一文の俺にしてみれば貴重な資金源だ。せっかくだし、魔石が金になるって言うなら、もっとここでモンスターを狩っていきたいという欲が出てきてしまう。一人で来ていたら、魔石なんて気が付かずに速攻冒険者協会に戻ってただろうな。


「これでクエストはクリアってことですよね? もう冒険者協会に戻ったほうがいいですか? ちょっとまだ体力的に余裕があるんで、モンスターを狩って行ってもいいですか?」


「デンジロウの強さはわかったけど、もう少し力の調節を覚えてからのほうがいいと思うわよ。あの調子でモンスターと戦ってたら周囲の冒険者を巻き込みかねないわ。今日はクエストもクリアしたことだし帰りましょう」


 レイリヤの言うことにも一理あるな。俺がこのまま力の調節ができないのに戦闘を行うのは危険か。俺も下手にほかの冒険者に怪我を負わせるのは望むところではないからな。誰もいないところで調節をしてから出直すか。報酬自体は生活するのに困らない程度にはもらえるって言ってたしな。


「わかりました。今日は帰ることにします。レイリヤ先輩ありがとうございました」


「そんなにかしこまらなくていいわよ。私が勝手にしたことなんだし、お礼を言われようと思ってしたわけじゃないわ」


 やっぱりいい人なんだろうなと、再確認する。でも、こうなると、苦戦していたゴブリンに素手で立ち向かわされたのが謎でたまらないな。冒険者として生きていくことの大変さでも教えようとしてくれていたのだろうか? 


 正直今俺が森のどのあたりにいるとかはまったくわからなかったので帰り道もレイリヤに案内してもらった。

 折れてしまった剣も、もしかしたら修復が聞くかもしれないということでしっかり回収して持って帰っている。この剣ばっかりは今すぐに弁償できるような額ではなさそうなので後々ということで俺の中の小目標として設定された。近いうちに弁償するぞ。


「そうだ!! 私に回復魔法を使ってくれたんだったわね。もしかして、デンジロウってほかに魔法を使えたりするの? 近接戦闘も強くて、魔法まで使えるのはちょっとずるいわ。自分でも死んだかもしれないって思うほどの怪我だったと思うんだけど、それを治しちゃったのよね?」


 そう言えば俺が治したんだったな。あの状況で力の出し惜しみなんてしている場合じゃなかったし、しょうがなかったが、腕っぷしに自信があるって言ってただけの新人冒険者が魔法を使うなんて不自然だったか? 今思い出してみても、大分グロイことなってたんだよな。ちょっと見えてたの内臓だっただろうしな。


「あの時は焦ってて、何とかして治療しなくちゃって思ってたらなんかできました。回復魔法を使ったのは初めてです」


「うそ? 本気で言ってるの? とても信じられないわ。瀕死の重傷を治療するなんてことAランクのヒーラーでもできるかどうかってレベルだと思うけど……もしかして私が思ってたよりも軽傷だったりする?」


「いえ、レイリヤ先輩は綺麗にお腹が避けてて、内臓が見えてました。仰向けに倒れてなかったら盛大にいってたでしょうね」


 あ、つい真実をそのまま伝えてしまった。ここで、剣で防いでたおかげで大した怪我じゃありませんでしたよって行っとけばよかったんじゃないか。その程度の傷なら俺が治療できたところでまあ、ぎりぎり許容範囲内だったかもしれない。


「うえ、ちょっと想像しただけでも気持ちわるいわ。そんなに淡々と張本人から言われるのは流石にちょっとね。でも助けてくれてありがと」


「当然ですよ。ほんとに必死だったんで、記憶が曖昧で……ほんと無事でよかったです」


「その割には怪我のことは鮮明に覚えてるようだけどぉ。わかった深くは聞かないわ。冒険者がほかの冒険者に自分の力を無暗にあかしたりするのもどうかと思うし。今日は詮索しないでおいてあげるわ」


 謎の冒険者間の暗黙のルール的なもので助かった。どう考えても不自然だもんな俺の存在自体。無一文で町についていきなり冒険者を始めたと思えば無駄にいろいろできて、でもよかったとりあえず、問題の先延ばしにはなったはずだ。今後のことは後で考えればいい。とりあえずは、今日の飯と宿だ。帰ったら速攻探しに行くとするか。

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