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突発的な状況に対処して見せてこといっぱしの冒険者だ。

 とりあえず、ゴブリンの鳴き声がした方向へ走り出したのはいいんだが、どうやって戦えばいいんだ? 今の状況だったらこぶしで語るしかないよな。最初から武器なんて持ってきてないし、素手で行くつもりだったが、俺なら魔法とかも使えるんじゃないだろうか? いや、あまり下手なことはしないほうが身のためか。


「レイリヤ先輩、ゴブリンに近づいたらどうすればいいんですか? 背後を取ったりしたほうがいいですか?」


「そうね、確実に仕留めようと思ったら奇襲はいい作戦よ……あ、私いつも通り走っちゃってたけど、デンジロウは余裕でついてくるのね」


 言われてみれば、なんか無駄に早い気がしてたんだよな。今までの俺だったら二秒でちぎられているくらいのスピードで走っている。この中、普通に会話しているのもおかしいか。


「ほんとですよ。俺もついて行くだけでかなりきついです。なんとかついていけそうなんで、このままいきましょう。ゴブリンをほかの冒険者に取られるわけにはいきませんから」


「はあ……今はそういうことにしておこうかしら。じゃあ、このまま行くけど、置いてかれないようにするのよ」


「はい!!」


 俺は元気よく返事をし、そのままレイリヤの後を追いかけた。




「ギギィ、ギギギギ」


 少し走ったところで、今度はしっかりと鳴き声が聞こえた。

 大分近づいているようだな。鳴き声の感じからして戦闘中ではなさそうだ。このまま行けば俺たちが一番乗りだろう。


「また聞こえたわね。急ぎましょう、こっちよ」


 今の鳴き声でゴブリンの予想位置を微調整して少し走る方向を変えている。


 やっぱり冒険者としての経験が俺とは段違いだからな。こう言ったところではものすごい頼りになる。俺一人でもゴブリンのところまで行くのは問題ないだろうが、背後を取ることまでできるかと言われたら自信がない。




「見えたわ、デンジロウ少し止まって」


「わかりました」


 レイリヤに促され一度制止する。


 俺はレイリヤの後ろにいるので、ゴブリンをまだ発見はしていない。ずっとレイリヤの背中を追いかけて走って来たのでしょうがないだろう。後姿も様になっていて綺麗だったな。眼福だ。いやいや、ずっとそんなことを考えて走ってた訳じゃないからな。ただいまふとそう思っただけだ。


「あそこよ、うーん見たところ6匹かしら。目標よりも1匹多いけど、仕方ないわねやりましょうか。最初は私は手を出さないからデンジロウができる限り倒して見せて」


 となると俺は一人で6匹のゴブリンを相手にしないといけないってことになるのか……ちょっと厳しくないか。これが1匹ずつ6回戦闘を行うって言うならまだいけそうな気もするけど、1対6なんて誰でもわかる、俺のほうが確実に不利だ。


「ゴブリンたちは集団で襲ってくるんですか? 連携を取られたら対処できるかわかりません。レイリヤ先輩、何かアドバイスとかありますか?」


「アドバイス? そうね、もっとも効果的な方法は全部一撃で仕留めることよ。そうすればすぐに数は減るわ。ゴブリンは知能は高くないからあまり連携を取ることはないわ。せいぜい、一緒に襲い掛かってくる程度よ。頑張ってここから応援してるから、危なくなったら助けてあげるから安心して」


 そんな無責任な。でもやるしかない、たかがゴブリンの数匹程度で躓いてるようじゃ魔王なんて倒せるはずもないんだ。やってやる。


 覚悟を決め、ゴブリンたちの様子をうかがう。どうやら、6匹でかたまって何かを話しているようだ。丸く円を作っている……待ってくれよ、これじゃあ、どこからいってみ不意はつけないじゃないか。絶対にどいつかに気が付かれてしまう。


 考えろ、どうにかして不意をつく方法はないのか。上から行けばいいのか。ジャンプして行けば視界に入ることはないはずだ。


「オラァァァァ!!」


 狙いを定めたゴブリンの背後を目指し跳躍。


 よし、このまま背後を取って1匹目だ。


 しかし、力加減をミスった俺は、ゴブリンたちの真ん中めがけて飛んで行っている。


 やばい、やばいこのままじゃど真ん中に……待てよ、これは逆にチャンスだ。全員の不意をついて真ん中からぐるっとけりをお見舞いしてやればいいんだ。ぐるっと1回転して、一網打尽だぜ。


 ドンッ。


「「「「「「ギギギャ!?」」」」」」


 俺の着地に少し遅れてゴブリンたちの困惑の声が広がる。だが、今更もう遅い、既に俺は蹴りのためのために右足を後ろに下げている。


「くらえぇ!! 回転蹴りぃ!!」


 ブオンォン。


 すさまじい音を立て、俺の蹴りは360度を振りぬいた。ただの蹴りじゃない、ためと回転の力を乗せた回転蹴りだ。強化された俺の力ならゴブリンなんてひとたまりもないだろう。


 どうだ? やったか? 


 回転する視界の中、ちょうど俺の蹴りと首の位置が同じだったらしく、6匹のゴブリンたちの生首が宙を舞った。


 油断していた俺の目には大分ショッキングな光景が映っていた。これくらいでうろたえてちゃ冒険者としてやっていけない。俺はやったんだ。ゴブリンたちの不意をついて完璧に倒したんだ。


「やりましたよ!! レイリヤ先輩!! ……あれ? 先輩?」


 さっきまで俺たちが身をひそめていた場所を見ると、レイリヤが血を流して倒れていた。

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