表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろうラジオ大賞3

雪だるま式に増える密室殺人

 空前の密室殺人ブームである。


 とある推理小説がきっかけで日本全国で密室殺人が行われるようなった。

 発生件数は年数千件にも昇り、社会問題としてメディアにも取り上げられ、国会でも議論されるようになった。


 密室とは外側から開かれないようになっている必要があるが、このレギュレーションが守られていない場合が多い。

 例えば、スペアキーを部屋の中に入れて密室の完成を宣言する場合がよく見られるが、これでは完全なる密室とは言えず、レギュレーション違反となる。


 もっともよく聞くのはオートロックを利用したケース。

 部屋を出るだけで簡単に鍵がかけられるので、密室を作るにはもってこいだ。

 この際、マスターキーとスペアキーを処分、ないしは別の場所へ移動しておく必要がある。

 でないと密室指数が下がってしまうからだ。


 被害者がナイフや包丁で刺された後に、自分で内側からカギをかけて密室化するという手法があると聞いた。

 加害者が刃物で襲ってくるのだから、部屋に逃げ込んで鍵をかけるのは当然の流れだ。

 この際、注意しておきたいのは、あらかじめ部屋の中に全てのカギをおいておくこと。でないとせっかく作った密室がパーになってしまう。


 刃物の他に毒物を使うという手もある。

 毒の量によって死亡時刻が変わるため、ちょっとした分量のミスが失敗につながる。

 難易度は高いが、美しさの観点からすれば刃物よりも毒物をお勧めしたい。何故なら血痕が部屋の外に残らないからだ。


 刃物を用いた密室メソッドだと、どうしても血痕が壁や床に残ってしまう。密室指数を上げるには、壁紙やカーペットを張り替えなければならない。外で襲ったのが分かったら密室指数が大幅に下がってしまうからだ。

 毒物の使用は手軽に密室指数を上げる手法かもしれない。


 他にも床や壁に穴をあけたり、換気ダクトから脱出したりするなど、脱出メソッドが広く用いられるようになったが、これには異論を呈したい。

 何故なら、密室からの脱出はもはやスポーツと化しており、従来の密室メソッドとは大きく方向性が異なるのだ。

 事実、脱出メソッドの犯人プレイヤーにはパルクールの経験者が多くみられる。




 日本全国で雪だるま式に増える密室殺人。

 その多くの犯人プレイヤーたちは、探偵ハンターによって逮捕ゲームオーバーになってしまった。

 もし参加を考えているのなら、是非ともレギュレーションを順守した密室殺人を心掛けて欲しい。


 日本全国密室殺人協会

 会長 平山 敦

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] やはりもっとも美しい密室殺人はトラップだと思うんですよ。 誘導して自爆させる。 うまくいけば殺人罪にも問われずに次の密室殺人を行える。 影牢式にコンボをきめるとなお良し
[良い点] 密室殺人は殺人だから美しいのです。 薬物では自殺の線が浮かび上がってしまいます。 やはり残虐に殺されているのに、出入りが不可能というのが私は好きです。 そもそもパルクールによる脱出が可能と…
[良い点] お久しぶりです、会長! そう言えば、人の刺殺の仕方も会長に教えていただきましたねぇ(嘘ですけど) その節は、本当にありがとうございました。 おかげ様でいい創作が出来そうです♪ 何か、会長…
2021/12/27 21:44 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ