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「あの、ここは…?」
葉月さんに連れられて道路を歩いているが、周りが木に囲まれていて何処にいるのかわからない。
「地中美術館に続く道だよ。この道を歩いて行ったらあるんだ」
「そうなんですね」
変わらず手は繋ぎ続けたまま歩いている。そろそろ手汗が気になるところではあるが、葉月さんと手を繋ぎたいからそのままでいたいという葛藤が心の中で起きている。葉月さんはと言えば有名アニメ映画の主題歌を鼻歌で歌いながら歩いている。気にしているのは私だけなのかなと思いながらも、葉月さんに続いて歌い始めて次第にハモっていくと、突然それは現れた。
「え?ネコバスのていりゅう所!?」
「そうだよ。可愛いよね」
その看板には有名なキャラクターと「いつでもネコバス来るよ」と書かれている。乗ってみたい…。葉月さんをチラッと見ると横に首を振られた。
「もう少しで美術館なんだ…」
つまりバスに乗ると美術館から遠ざかってしまう。今回は諦めるしかないか…。記念にネコバスのていりゅう所の写真を撮る。
「ごめんね」
「いえ!可愛い停留所が見れて満足です!」
「そう?」
眉が下がった顔をしている葉月さんを先へと引っ張る。少し歩くとチケット売り場が見えてきた。コンクリートの看板が安藤忠雄らしいなと思いながら中に入ってチケットを買う。そこから更に少し歩くと地中美術館と書かれた看板が見えてきた。
いよいよだ…!
興奮でスキップしたくなる気持ちを抑えながら中に入る。中が、広いし造りが不思議だ。コンクリートで造られているのは安藤忠雄らしいなと思いながらも造りの不思議さに首をかしげる。これは上から見た時に不思議な形をしているのでは?と思っていると、案の定三角や長方形などの形をしているらしい。自然光が入りやすくするためにか不思議な形でカットされている場所もある。
作品自体もとても不思議だ。展示室は作品ごとで分けられていて、その中で一際目立っているのが黒色の巨大な球体だ。階段上の丁度真ん中に鎮座しているのを不思議に思いながらも、陽の光によって反射する場所が違うのが面白い。別の時間に鑑賞しにくるときっと違う一面が見えるに違いない。
不思議なものが見られたなあ。




