─天使と悪魔の双子の物語──
〜放課後〜
僕は一人で歩く。
家に向かって、今日の朝走った道をゆっくりと進んで行く。家に帰ったら何をしようか……なんてことを考えながら。
本当のことを言うと、僕は家に帰ってもほとんどすることが無い。………宿題以外……
ふと、頭をよぎった。僕の弟の話。その事については意味不明だから、考えても意味が無いのに何故か考え始めると頭から離れなくなる。どうしてだろうか……
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
目の前から叫び声。僕は前を向いたが、『遅かったな』と思った。
ドンガラガッシャーン……みたいな音が鳴り響き、案の定、僕と誰かはぶつかってしまった。
「……いってぇ~……」
「す、すみません!大丈夫ですか!?」
ぶつかってしまったのは、少し怖い人だった。これはヤバい…
「も、申し訳ありません!お金は払いますから、見逃してください!」
「……は?」
「だ、ダメですか!?命だけは!命だけはぁぁぁぁ!!!!」
「ちょっと待て、お前何言ってんだ?」
「え?」
「俺は何もしねぇよ」ニコリと僕に微笑み、手を差し出してきた。
案外優しい人なのかも?と思い、僕は手を取った。
「すまねぇな…急いでて……」
「い、いえ、こちらも注意不足で…」僕は頭を下げた。
「ん、?お前、光天使魔法学校の奴か!」
「は、はい…そうですが?」
「リューシュってやつを探してんだ!知らねぇか?」
どうやらこの人は僕のことを探しているようだ。「えっと、僕がリューシュですけど…何か用ですか?」僕は恐る恐る聞いてみる…誘拐じゃないよね!?
「あ、おまえがリューシュか!着いてきて欲しいんだ!」
「え、え?」ほら!もう怪しいもん!
「つべこべ言わず、着いてこい!」僕はお姫様抱っこで連れ去られた。
「え!?え!?ちょ、ちょっと待ってくださいよぉぉぉぉぉ!!!!」
僕は、どこへ行くのだろうか…