バッドエンド1
桜舞う木の下。今日、僕はラブレターを貰った。初めてのことで大変どきまぎする。もうすぐ約束の時間だ。
「比嘉蓮也君へ 唐突ですが、貴方のことが好きです。私のことは知らないかも知れませんが、廊下ですれ違った際は無意識にいつも目で追ってしまいます。クラス合同の体育の時間では蓮也君に遠くから応援をしていました。もう遠くから眺めてるだけでは我慢できず、ラブレターを送らせていただきました。来てくれると嬉しいな。 今日の放課後十八時、学校裏の桜の木の下で」
僕はラブレターを読み返し、トタトタと足音が近づいてくるのに気付き、手紙を鞄にしまう。手紙の主だろうか?からかわれていなければいいのだが。
「もう始まっているんだよ。早く私に辿り着いて」
どこからともなく声が頭に響く。そして、空間が歪むと表現するのが正しいのか?白昼夢でも見ている気分だ。黒い何かが近づく、僕は動けずに飲み込まみこまれた。
「!?」
リュウキュウツミが勢いよく翼を羽ばたく、北東から冷たい風が吹き、木々が大きく揺れる。蓮也は氷水をかけられたような感覚とともに我に返った。
「今のは何だったんだ?」
周りをキョロキョロと辺りを見回す。なにも変わらない、いつもの景色だ。そこに手紙の差出人が現れ、蓮也はビックリした。
「あ、蓮也君。待たせちゃったみたいだね。ん?どうしたの?私の顔に何か付いてる?」
「いやなにも」
「なら良かった。それとごめんなさい遅れて。でも来てくれてありがとう。自己紹介するね。私の名前は指原枝里、剣道部所属。一年C組です」
蓮也は疲れているのだと自分に思い込ませ、気を取り直した。枝里の顔を見ると、自分の好みの顔であり、こんな可愛い子が僕にラブレターを?
「僕は紹介しなくても大丈夫だよね」
「もちろんです」
「えっと、付き合うってことでいいんだよね?」
「はい」
蓮也は照れくさそうに肩をすくめる。
「私、蓮也君が好きです。是非お付き合いをさせてください」
「正直手紙を貰ったときはビックリしたけど、こんな僕でよければ」
「なら死んでください」
「ハッ?え?」
蓮也はナイフで胸を刺されていた。流血が辺りに広がり、何が起きたのかわからなかった。刺された箇所が焼けるように痛く、息が苦しい。しかし、まだ終わりではない。枝里は僕を押し倒し、馬乗りになると蓮也の体をナイフで滅多刺しにする。
「ヒューヒュー」
息が出来ない、痛い。僕は朦朧とする意識の中、彼女の顔を眺めていると、何故か真っ黒であることに気付いた。僕の意識は、そこで途絶えた。




